すずめになったスズ
私、スズは今は鈴芽という名前になってこの世界にいる。
連れてきたテトは今、とある男の子として生活している。
同い年のクラスメイト。
私達はこの世界にきて、角がなくなった。どこに行ったのかもわからない。
「これが普通の女の子」
魔法なんて使えないし、すごーく弱い。相棒のクローバーもいない。それに……、いつも一緒だった弟もいない。
少しだけ私は寂しくなる。
でも、自分で決めたことだから私はこのままここで頑張るつもり。ただ、帝都は違う。
彼は私が連れてきてしまったから。
「おはよう、帝都」
「あ、えっとスズ、おはよう」
なぜか、彼はここにきた時、テトとして生きた記憶をほとんど覚えていなくてすんなりと帝都になってしまった。
正しい手順を踏まなかったせいだろうか。
二人でここにきた時、私ががっしりと抱きついていたから彼はとても真っ赤になっていた。
「誰ですか、あなたは!!」
なんて言われてかなりショックだったのはついこの間。
私は帝都に近寄って話しかける。
「今日はテストだね。勉強してきた?」
「もちろんです。勉強は将来に役に立ちます」
私に視線を合わせずに話す彼。
「なら、いい点とったら、チューしてあげる!」
「何故あなたからキスされなければならないんですか」
――そんなの、あなたに近付きたいからだよ。
私はあなたを諦めない。だって、そうじゃなきゃ弟やすずめ、向こうの世界の皆に合わせる顔がないもの。
まあ、この先彼らと会うかどうかなんてないだろうけれど。
「ねえ、本当は忘れたフリしてるだけじゃない?」
今日も帝都は私と目を合わせてくれない。
それでも、側にいたい。私はあなたに恋をしている。
普通の女の子だから、諦めなくていいんだもの。
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