リーン
「テト様、ご機嫌よう」
「こんにちは」
「テト様だ! お隣は?」
入り口前に立っていた人たちがいっせいに近付いてくる。皆似た服を着ている。
「この人ともう一人合わせた、二人が召喚された聖女だよ」
「あぁー! さっきカイ様が連れていた方ですね。凄いです! 聖女様を二人も招くことが出来たのですね」
「そう、イオがとても頑張ってくれたんだ。あぁ、カイ達はまだここにいるかな?」
「学園長のところに行ったかと思うのですが」
「そうか、ありがとう。もし、また見かけたらここにいて欲しいと伝えてもらっていいかな?」
「はい、もちろんです」
集まった制服の人々とそうした会話を終え、テトはまた手を引いて歩きだす。
「今の子達がこの学園に通う魔法使いのたまご達。次からは君達の学友だよ」
「みんな、なんだかキラキラしてました」
「そうかい? 魔法の練習でもしてたのかな」
「あ、その、目が輝いているというか」
「皆、一流の魔法使いを目指して頑張ってるからね」
そう、皆夢を追いかける目だった。いつから、私はあの目が眩しく写るようになったのだろう。
もしかして、私の輝きはもうあんな風に輝いていないのかな――。
「ここが食堂、隣が体育館だ」
「あはは、まるで私達の世界の学校みたいですね」
「似てるかい?」
「そうですね、なんとなく似てます」
「では、覚えやすいね」
「はい」
芸能活動で、勉強は遅れないようにしっかりしていたけれど学校生活は後回しにしていた。だから――、ゆっくりと学校生活が出来るかもしれないと考えて、少しだけ嬉しくなった。
あちこち歩いたあとたどり着いたのは大きなドアのある部屋。ここが学園長のお部屋だろうか? テトがコンコンとノックした。
「リーン先生、テトです。いいですか?」
「あぁ、入って構わないよ」
返事がすぐにきて、テトはドアを開けた。中には三人居て、結愛とカイと、身長が高い銀髪の女の人だった。
銀色の髪は床につくのではないかと思うほど長く、目は閉じていて、どこを見ているかわからない。
けれど、その顔はこちらを確実に見ていた。
「やぁ、テト君」
「リーン先生、もうお聞きしましたか?」
「あぁ、新入生が二人だね。わかってる」
「そうですか、こちらがもう一人の少女、鈴芽さんです。どうかよろしくお願いします」
「空野鈴芽です。よろしくお願いします」
私は急いで頭を下げると、銀髪の女性、リーンはふふふと笑っていた。
「面白そうな女の子ですね。よろしくスズメ君。それと小さなクロツノ君」
閉じていた目が少しだけ開いて、また閉じた。少しだけ見えた瞳は髪と同じ銀色だった。
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