第四話授業開始、悪の足音
「はーいこれから授業を始めます。今回は魔法の基礎についてです。魔法は体内に有るマナと言うものを使い発動させます。」
僕ら3人は退屈だった。
ナザ爺にしっかり叩き込まれていたからだ。
僕とクロノスは隣の席だった、だからすぐに仲良くなった。
クロノスと話して居るとディスが慌てた様子で話しかけて来た。
「ちょっとヤバいかもしれない。一ヶ月後位に魔族の封印が解かれ復活する」
ディスは同じ魔族の力を読み取ったのだろう。
僕はこの事をナザ爺、ルマ、ガレティアに相談した。
「一ヶ月か、多分国に伝えても信じて貰えんじゃろ、このメンバーで対抗するしか無いのか…」
「ナザ爺にも来て欲しいけど、無理っぽいし」
「私は教える事は出来るが実際戦う事は厳しいな」
「他に魔法が使える奴はおらんか?」
今はまだ弱いが他の誰よりも伸び代がありすぐに使える様になる人を僕は知ってる。
「一人だけ居る、言ってみるよ」
僕はクロノスにこの事を伝えた。
「クロノスなら無詠唱も使える様になると思う。信じられないかもしれないが僕らに力を貸してくれ」
「無詠唱を支える様になるって本当かい!?僕如きが力に成れるか分からないが…それでも良いかい?」
「他の人達より何十倍も頼りになるよ、ありがとう」
これから僕らの特訓が始まった。
ルマとガレティアはそれぞれ得意な物を伸ばす特訓だ。
ルマは魔法、ガレティアは剣術だ。
僕はクロノスに無詠唱魔法を教えながら、ディスに新しい無詠唱魔法を教わっていた。
「今回は炎の無詠唱を教える。無詠唱魔法というのはイメージが大事。火が燃えるのはどんな原理か知ってるかい?」
「そんな事考えても見なかったよ」
やはりこの世界はそういう原理を考える文化が無いのだろう。
「火と言うのは燃える物、まぁ例えば木だね。それとこの僕たちが吸っている空気。後はこの火の元になる火種の三つが揃って初めて燃える。火種はそもそも火だったり、雷とか、摩擦とかでも良いね。ここまで大丈夫?」
「まぁ何となくだが」
「それをイメージする。そうして手を開くと…」
ゴォォォォォ!
「試験の時と同じ青い焔が出た」
「青い焔は空気の分量を多くしたんだよ。最初から無詠唱ってのは厳しいと思うからまずはイメージする事を練習しよう。ある程度イメージ出来たなって思ったら『爆ぜろ』と言う。頑張ってね」
僕はクロノスに練習の仕方を教えた。
次は僕が教わる番だ。
「エク、過冷却水って聞いたこと有るかい?」
「有るよ。凍る温度になっても凍らずにいる水で衝撃が加わると一気に凍るって奴でしょ?」
「そう、一気に凍るのは水だけだがな。その過冷却水を使えば水属性も氷属性も使える様になると思う。」
「過冷却水って言ってもイメージ湧かないなあ」
「簡単だよ、水を振動を与えずにゆっくり冷やすイメージをするの」
僕はゆっくり凍らせるイメージを続けた。
火や雷の様に上手くいかなかった。
僕この魔法のレベルをディスに聞いた。その答えに驚いた。
「精霊や古龍とかと同じレベルかな」
精霊や古龍が使うレベルの魔法を使おうとしてたのかと一瞬萎えたが、今の僕は魔族のディスの力も有る。
頑張れば使える様になると自分を鼓舞し頑張った。
特訓を初めて数日後ナザ爺から荷物が届いた。
ガレティアには剣を、ルマには魔力増強のイヤリング型の魔道具、クロノスには詠唱を短くするネックレス型の魔道具、僕には防御アップの指輪型の魔道具だった。
ガレティアの剣には何も付いてなかったが、それはガレティアの癖を見て僕に魔法をつけろって事だろう。
僕ガレティアの剣に軽量化を付けた。これでガレティアの素早さを活かせる剣になっただろう。
僕らは特訓を続けた。
だが、その時は急に訪れた。
僕らはその時授業を受けていた。
「はい今日は、自作魔法についてです。前回の授業で魔法はイメージが大事と…」
僕は何故か外が気になりちらっと見た。
暗くなる空、鳥達が急に飛び立つ、魔物達も何か強大な力から逃げている感じだった。
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