銃士達の邂逅 p.11
訓練施設のすぐ外に刺さった避雷針の前まで来た四人は、檻に閉じ込められたままの獣を地面に放り、林を睨む。
檻にはところどころヒビが入っており、邪術の効力が間もなく消える事を示す。
リーエンは額から僅かに汗をにじませ、檻と林を交互に睨む。
「避雷針に引き寄せられてもう一体の獣も近づいてきている。準備しろ」
檻のヒビが広がっていく間も、メリッサとジークは林に向かって対峙し続ける。
「いいか。タイミングを計って五カウント以内でケリをつけるぞ」
四人は、訓練所と避雷針を背に、林の先を睨む。
風がそよぎ、木々が一時のざわめきを奏で、一瞬の静寂が訪れた瞬間始まった。
「来るぞ」
リーエンの一声と共に、木々よりも高く緑色の触手が空へと何本も伸びる。
触手は先端の形状を銃口へ変え、照準を地表にいるメリッサ達に向ける。
溶解液の弾丸が空から降ってきた。
「リーエン、シャムは避雷針の防衛!」
「
「……」
シャムはノリノリで前に出て、リーエンは無言でそれに続く。
二人は各々の銃で襲い来る溶解弾を迎撃し、弾丸は敵の攻撃を四散させる。
「突っ込むぞメリッサ!」
「言われなくても」
弾丸が降り注ぐ中、メリッサとジークは林へと突っ込む。
雨あられと降ってくる溶解液を、メリッサは渦を脚力に回し、尋常ではないスピードで動き回って敵の照準を定めさせない。
方やジークはただ前へと走る。
スピードはメリッサより劣るジークへ照準が向くのは明らか。
銃口が一斉に向きを変えるも、次の瞬間それらの攻撃は無へと帰す。
降り注ぐ溶解液はジークに触れた瞬間、ジークの邪術が発動し一瞬にして塵となった。
敵の猛攻を無力化し、一気に距離を詰めた二人は、獣の左右を囲んでそれぞれ構える。
「カウント、ファイブ!」
間髪入れず、ジークがカウントを始めた。
同時に、ジークはアメーバ型の獣の液体に右腕を突っ込む。
常人であれば液体に手を触れた途端に溶解が始まる。
だが、ジークの破壊の邪術はそんな道理すらもひねり潰す。
液体が次々と分解され、煙のように散っていく。
命の危機を察知したアメーバ型は、残った液体を操り、
「チッ! フォー!」
カウントは続く、だが敵は遙か上空。
メリッサは再度渦を足へと回す。
身体強化をしたジャンプでは届かない。
だが、それも想定内。
メリッサは右足から爆炎の邪術を発動させ、爆発は推進力となり、メリッサを天高く舞い上がらせる。
「スリー!」
メリッサの声は上空からも響き、地上で檻に捕まえたままの獣の傍に立つリーエンとシャムにも聞こえた。
だが、ここでも事態は急変する。
檻の中の獣が想定以上に暴れ出し、リーエンが作り出した檻が突如破壊された。
「うわ!」
「っ!」
事態は悪化していく。
檻から出たアメーバ型はその身に纏う液体を全力で辺りに撒き散らす。
二人はたまらずアメーバ型から距離を離し、花火のように散る溶解液をひたすら避ける。
タイミングをずらすための悪あがきであることは明らか。
「ツー!」
メリッサのカウントが無慈悲に続くが、リーエンは焦らず、最適解を導き出す。
敵は最後の悪あがきで身体の液体を後先考えずに撒き散らしている。
液体を猛烈に消化し続けた結果、
刃は
クナイの柄にピアノ線が絡みついており、リーエンに引っ張られたクナイが獣の
抜き身の
「ワン! シャム!」
リーエンがカウントを進めてシャムを呼ぶ。
クナイが投げられた時点で全てを察したシャムは、宙に浮く
身体能力を強化したシャムの蹴りは常人の比ではなく、音速に近い勢いで
「今!」
シャムが叫び、銃弾が響く。
上空のメリッサと地表にいるシャムが放った弾丸が、獣の脳天へと直撃した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます