銃士達の邂逅 p.10
合流した四人は捕らえた獣を囲んで立つ。
アメーバ型はリーエンが作った檻の中で尚暴れているが、僅かなヒビを作るだけで出られそうになかった。
「状況整理だ」
ジークは三人を見渡して現状の事態を並べる。
「どういう訳か本来のターゲットを喰ってこいつが現れた。明らかにこいつの力量は本来の任務難易度を超えている。
通常兵器などで攻撃を加えても獣はすぐに再生し、対獣として開発された
「現状コイツを二体目撃している。が、二体とも
「いや、違う」
そう思案するジークを遮るように、リーエンが口を挟む。
「弱点は
リーエンは右目の邪術を発動したまま、獣を観察し続ける。
「おそらく二つの
「本当にそれで倒せるの?」
少し心配そうにシャムがリーエンに訪ねるが、リーエンは迷うこと無く首を縦に振る。
「私の眼は渦の流れや邪術を解析できる。この
リーエンは右目の赤い瞳で目の前の獣を補足し続けながら言った。
メリッサはリーエンの考察を黙して聞いていたが、内心はリーエンに寒気すら感じていた。
ただ邪術を発動しているだけだというのに、リーエンの瞳から漏れ出る渦に底知れぬ力量を感じ取る。
息を飲むメリッサとは裏腹に、ジークはふん、と鼻でリーエンを笑う。
「妙に協力的じゃねぇか。やる気がねぇって話だったんじゃねぇのか」
変わらぬ上から目線で言うジークを、リーエンは静かに睨み返す。
「……べつに。ちょっとした気まぐれだ」
さらりとリーエンは応えるが、口調はどこか影を落としている。
しかしジークは全くそれを気に止めず、 パン、と拳を叩き、歯を覗かせて笑う。
「ともかく、種は割れた。後はぶちのめすだけだ」
「よーし、頑張ろう!」
「……」
ジークに感化されてぴょんぴょん飛ぶシャムと、何を考えているか分からないがリーエンは黙して指示に従う様子だった。
それまで一連の様子を眺めていたメリッサに、シャムが飛びついてきた。
「メリッサはもう飛び出しちゃ駄目だからね。これは命令なのだ!」
シャムはメリッサの胸目がけて顔を埋めようとするが、メリッサの手がそれを阻止する。
「謎が解けたなら、私だけでもやれる」
メリッサの手とシャムの頭が鍔迫り合いをしている中、ジークは煩わしい様子で頭をかく。
「まだ信用出来ねぇ、て面だな」
「べつに。集団で挑んだからって、獣を必ず討伐出来ると思ってないだけよ」
「俺様達を信用する必要はねぇ。だが、ここにいる全員が獣共のドタマに鉛玉をくれてやりたい集団だってことを忘れるな」
ジークは避雷針が落ちている方角へと歩き出し、シャムとリーエンもそれに従って歩き始める。
「俺様達は獣を殺す銃弾になれればそれで良い」
その言葉は冷たくも、メリッサにとってどこか馴染み深い響きにも聞こえた。
しばらく思案したメリッサは、少し遠くを歩く三人を追って足を進める。
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