銃士達の邂逅 p.5
「はぁ、メリッサの奴、チームワークもへったくれも無いな」
壁一面に備えられた数々のモニターを眺め、ヴィクセントは司令席に座りながら呟く。
訓練施設周辺に放ったドローンから映像がリアルタイムで送られ、メリッサ達の様子を観察していたが、さっそくメリッサが単独行動を取ろうとしているのが見えた。
映像ではメリッサが一人で施設を後にし、ジークだけが部屋に取り残されていた。
「ジークもイラつくだけで歩み寄ろうともしない、か。たく、素質は誰よりもある奴らだってのに、どうしてこうも協調性がないかね」
ぐい、と勢いよくグラスに入った酒を飲み干し、机にグラスを叩きつけるように置く。
「時間だ。
「良いのですか? もう少し様子を見ても良いのでは……」
モニター前に座るオペレーターがヴィクセンとへ確認を仰ぐ。
「良い。最初から任務遂行の経緯と結果を観察して、こいつらの処遇を決める想定だ」
「
オペレーターのカウントダウンを聞き、ヴィクセンとはモニターを眺めながらうなづく。
「発射」
「
報告が上がると同時、画面に映された戦略型トラクターから、避雷針が発射された様子が映される。
いよいよメリッサ達の任務が開始し、ヴィクセントは幾つものモニターに映っている現場の様子を不安げに眺める。
すると映像のうちの一つが、何の予兆も泣く暗転したのを見逃さなかった。
「ん? おい、カメラ一つ落ちたぞ」
モニター近くに座るスタッフにそう呼びかけると、またしても映像が一つ暗転した。
妙な胸騒ぎを覚え、スタッフの一人がその危惧へさらに拍車をかける。
「これは、カメラが何者かによって破壊されてます!」
映像は次々と遮断されていき、ヴィクセントはカメラを破壊している者を探すも、カメラが犯人を写す前に映像を断絶されてしまう。
最後のカメラが破壊される数舜前、薄らと緑色の何かが見えた気がしたが、映像はぷつりと闇の中へと飲まれていった。
晴天の空を飛行機雲が一つ描かれていく。
その飛行機雲を描くのは一本の槍だった。
槍はいくつもの骨が複雑に絡み合うように形を作っており、悍ましい気配を纏ったそれは遠くにそびえる施設へと飛翔する。
その様子を地表、森の中から複数の獣達が眺めていた。
獣達は姿形は狼に近く、背中からいくつもの触手と棘を生やし、群れとなって行動していた。
空を駆ける槍の効果に釣られ、同じ方向に向かって獣達が走ろうとした途端、森の奥から突然飛んできた液体に飲み込まれる。
狼型の獣は吠える間もなくうごめく液体に身体全てを包み込まれると、身体が溶けはじめ、骨の髄までもが液状化していく。
一瞬だけざわついた森に静寂が再来し、そこには一体の獣だけが残っていた。
獣、といってもその姿形は動物とは違う。
それは緑色の液体で構築されたアメーバ状の身体が球体となり、地上をナメクジのように進む。
アメーバ状の身体の中には人間の頭が二つ浮かんでおり、目玉をぐりぐりと動かし、天空を駆ける槍を観測する。
その間にも体内に取り込んだ狼型の獣の身体は溶かされ続けていった。
液体の中には狼型の獣だけではなく、周辺を飛んでいたドローンも破壊されて取り込まれていた。
アメーバ状の獣は他に生物がいないことを確認すると、槍が飛んでいく方角へ向かい始める。
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