第13話 ENDmarker.

 目が覚めた。


 まるで、夢から覚めるみたいに。


 起きた。


 誰もいない部屋。

 なぜか、服を着ていない自分。


「なんで服着てないんだ私」


 なにやら、一人でしまくっていたらしい。はずかしいな。

 シャワーを浴びて、服を着替えて。

 何か忘れているような気がしたけど、思い出せなかった。

 普通の日々に、特に記憶力とかそういうのが必要なことはない。淡々と普通が目の前を通りすぎていくだけ。

 夢を見ていた。

 何の夢だったのかは、忘れてしまった。好きなものの夢だったような、気がする。なんか、そんな気がするだけ。

 椅子に座る。

 なんか。腰とか、身体の下の部分が。暖かい。やだな、ひとりでしすぎたからかな。もう一回シャワーを浴びてこようか。


「ん?」


 さっき、自分がひとりで寝ていた場所。

 無地の服が、無造作に置いてある。

 こんな服、買ったっけか。

 ちょっと笑った。

 笑顔。

 自分で買った服も思い出せないとは。記憶がなくなっちゃったみたい。不思議。

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