第12話

 よく分からないけど、彼女の本気を感じた。

 セックスの後。

 彼女がふるふると震わせている。


「あ、あの」


 お。

 彼女。声が出た。か細く小さな、口に耳をくっつけていないと聞こえない声。


「きこえますか、えくすきゅうずみい」


 よく分からないので、一回彼女とセックスした。


「しゃべ、しゃべれなくなるう」


 セックスの後。耳を口にくっつけたら、そう喋った。そして、耳をあむあむしはじめた。一通り耳を食べてから、再び、か細く小さな声。


「わたしのこと、すき?」


 なんで?


「わたしのこと、すきでも、きらいでも、なさそう、だった、から」


 好きですけど。


「ほんとに?」


 最初はどうでもよかった。好きでもきらいでもなかった。


「それは、へこむ」


 セックスしてからかなあ。最初のセックスで。あ、この人と一生一緒でもいいなって思ったけど。


「ほんとに?」


 ほんとに。


「ありがとう。うれしい」

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