第4話

 彼女に、見てと言われたので。彼女を一日意識して眺めてみた。

 彼女は、どうやら人からあんまり認識されていないみたいだった。先生にも、他のひとにも。見えていないんじゃないかと思うような瞬間がある。


「どうだった?」


 帰り道。彼女が訊いてくる。


「普通」


「普通かあ」


 彼女が笑う。

 どうでもいいけど、一緒に帰るのはこれが二回目。一回目は彼女喋らなかったし。なんなら、彼女が近寄ってきてから二日目。

 距離感の詰めかたがすごい。二日目なのに。

 もうなんか、当然のことのように隣にいる。

 そして。自分の視線に気づいた彼女が、笑顔になる。

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