第2話

どこにでもある、御伽噺の1つ「建国の王」は、夢溢れる子どもたちの憧れの英雄で夢物語だ。





クオーツ王国の東の端、各国の中心にある為、旅人や商人で賑わう街「シルフィ」

また、隣国デールラント魔国へ向かう街道は魔物が多く発生するため、行き来する冒険者達が多く滞在する街でもある。


そんなシルフィの冒険者ギルドの朝は大賑わいで、掲示板の前は人で溢れかえっていた。


「では、こちらの案件でよろしいでしょうか。メンバーの確認を致しますね。Aランクのシルバさん、Bランクのリオンさん、Cランクのルードくん。ランクもメンバーも登録と案件の条件と相違無いため受注させて頂きます。お怪我や魔物には充分気をつけて下さいね。」


冒険者ギルドの案件の受付で、2人の青年と、1人の少年が仕事の受注を行っている。

ブラウンの長髪の見目整う1人の青年と、1人の少年はこの辺では有名な兄弟である。

兄のリオンは、常に優しい微笑みを浮べ物腰柔らかい青年で、15歳にしてBランクの冒険者の実力がある。

そして、弟のルードは髪型は兄と同じだが、大きな目に縁取られた瞳と頬はまだ成長途中の丸みを帯びている。ルードも10歳で魔物討伐が出来るCランクへ上がる実力。


銀色の短髪青年は、2人よりかなり背が高く、背中には身長と同じほどある大きなの大剣を背負っている。名前はシルバ、もっとも最強の冒険者に近い1人として名や顔は売れている凄腕の冒険者である。


そんな3人が受けた案件は、デールラント魔国のクルタ村への荷運びとオークの巣の討伐。


「ルードよぉ、本当に大丈夫か?相手はCランクと言っても魔物だぞ。なぁんにも、10歳のお前が受けなくてもよぉ」

いかつい図体をしたシルバが眉尻を下げ、ルードの目線までしゃがみ、討伐内容の紙を見せながら心配そうに話す。


「しつこいよ、シルバ。僕だってこれでも冒険者だからね。あと、兄さんの許可は得てるから、もう何を言っても一緒だから。」


「リオン…いいんだな?」


「シルバは相変わらずですね。ルードの魔法の才はずば抜けていますし、今回はシルバも同行してくれます。そんなに心配はしなくて平気ですよ。無理や油断は禁物ということはしっかりと言い着せています。」


「まぁ、そうだよな。っし、俺がしっかりすれば良いんだよな。行くか」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る