地底にて、サマエルとサナトルに会う。

魔法システムが構築された。

 空洞には、街が築かれている。

 街には、湊川 翔の言っていた通り、家々が立ち並び、工場があり、農園があった。図書館や、公園、ショッピングセンター、学校、研究所迄ある。

 「地下に、文明があったという話は、本当だったのだな。」

 終は、辺りを見まわしつつ、感心した様子で、言った。

 肌の白い、地底人が街で生活をしている。道を歩いている。

 「地底人ってのは、肌が白いんだな。」

 街の中を歩いている途上に、終は、サマエルに質問した。

 「ああ、地下には日光が届かないからね、紫外線を受けないんだ。」

 紫外線を受けないのに、病気にはならないのだろうか、と疑問に思った。作物を育てるのにも、紫外線が必要だ、太陽光の恩恵は、大きい。

 「紫外線の代わりに、太陽石を使っているよ。古代に太陽のエネルギーを蓄えた、小型の太陽さ。」

 採掘場があった。

 太陽石という石を採掘しているらしい。

 「ほら、あすこで、採掘している石が太陽石さ。」

 太陽石は、橙色に輝いていた。太陽石は、採掘されると、石の周囲に、コロナが出来る、フレアがほとばしっている。

 「此奴は、太陽のエネルギーを蓄えた石さ。熱くない、エネルギーは石の中に、閉じ込められているのさ。太陽のエネルギーが目に見えるだけで、熱は全て、閉じ込められている。紫外線は放出されないが、此奴に、ドライアイスをぶつけると、エネルギー体 Nがつくられる。Nは、地底じゃあ、太陽光の代わりに使われる、重要なエネルギーさ。」

 街を歩いていくと、街の中央にある、役所に着いた。

 「この地底の街の市長が、君の事を待っているよ。さあ、行こう。」

 三階建ての役所の入り口に立つと、自動ドアが開いた。

 ビーン。

 「地底にも、自動ドアがあるんだね。」

 私は、ドアが開くのをみて、何処か親近感を覚えていた。 

 ドアを抜けると、受け付けの人が居る。

 受付を済ませると、市長室に入っていった。

 「失礼します。サマエルです。例の子がやってきました。」

 しばらくすると、市長室の扉が開いた。

 「よくぞ、帰った、サマエルよ。無事で何よりだ。」

 サマエルは、深くお辞儀をした。

 「例の、時風 来という少年と、恐らく、額の者と思われる、死末 終とかいう、少年です。」

 サマエルは、簡単に私達の事を紹介した。

 市長は、私達を交互に見ると、本の数十秒の間、思案して、言った。

 「やあ、私は、サナトル。此の地底の街の市長をしているものだ。以後よろしく。」

 地底の市長サナトルは、挨拶をした。

 私達は、軽く会釈して、続けた。

 「こちらこそ、よろしくお願いします。時風 来です。」

 終は、私が挨拶をするのを見て、続けた。

 「どうも、死末 終だ、よろしく。」

 王子としての威厳のある挨拶だった。

 死末 終の、持つ、魅力と、王としての威厳があった。

 サナトルは、思わず、厳粛な態度になり。改まった。

 お互いに握手をした後、サナトルは、話始めた。

 「君たちの事は、石人様の水晶から、しっかりと、見ておったから、大体の素性は分かる。額の一族の王子 死末 終君と、末裔の湊川 翔君。さあ、石人様が、祠で待ってる。」

 石人様、湊川 翔の言っていた、石守 真の事であろうか。 

 大体の事情は、把握しているらしい。

 終は、どんな手品で、私達の行動を観測していたのかが、気に掛かっているようであった。

 「水晶は、思念によって、ありとあらゆる、世界の様相が映し出されます。石人様は、水晶に集められた膨大な量のデータを分析し、地底に助言与えてきました。」

 原理はよく分からなかったが、どうやら、水晶は、この世界で起こった、あらゆる現象を映す事のできるもので、石人様は、この世界のあらゆる情報を記録分析し、地下帝国の存族の為に、幾つかの助言をしてきた、との事だった。

 サナトルは、石人様のいる祠に行こうといって、歩きだした。

 私達は、サナトルの後を付いていった。

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