レベッカは、家族が心配である

「私の家族は無事であろうか。」

 もう、十二歳から、十二年以上、アリス家に帰っていない。

 「無事な訳ねえさ。知らんがな。運よく、誰一人犠牲に成らずにすんでいる可能性はあるが、おめえの、魔力量を見れば、生贄にするのに、十分な魔力だ。誰か一人は、×××の生贄になっていると覚悟しておくべきだね。」

 髭の男は、気の毒そうに言った。

 私は、最低だ。

 もう、十二年も前の事だ。

 旅をしていた。

 家族の事なんて、これまで、忘れていた。

 家に期待されてきた。けれど、アリス家はつまらなかった。世界中を冒険したかった、家を飛び出した。

 親にも、内緒で抜け出した。

 もしかすると、死んだと思われているかも知れなかった。

 親は、私を大事に育てたし、弟、妹は、私を慕っていた。

 

 十二年前 

 アリス家で、父のボワールは、鍛冶職人であった。母のソワンヌは、服飾デザイナーであった。

 魔法学校に通っていました。

 魔法学校 中等部への進学前の時分でした。

 私は、飛び出したのでした。

 母と父と仲の悪かったわけではありませんでした。

 魔法の勉強は簡単で退屈でした。

 世界の歴史に興味をもった私は、世界中の遺跡を見て回る度をしようと考えて居ました。

 鍛冶職人の父は、魔法武器と防具を作るのに忙しく、滅多に家には帰って来ませんでしたが、帰ってくると、私達を愛しているのがよくわかりました、何処かへ遊びに連れて行ってくれたり、遊んでくれました。

 キャッチボールをした事は今でも覚えています。

 母は、服飾デザイナーで、家にいるときでも、常に、デザインをしていました。

 忙しい中でも、御飯を作り、毎日、家族で御飯を食べました。

 魔法の訓練を受けた事もありました。

 弟は、不出来だった、が優しい弟であった。

 人の為に怒ったり、泣いたりできる、弟であった。私は、人の為に、感情を高ぶらせたことは無かった。

 妹は、お洒落であった。

 頭のいい、妹であった。

 絵画を嗜んで居った。

 人見知りの引き籠りであったが、かわいらしい、奴で、放っておけない何かのある、人間であった。

  彼等との思い出はある、確かに、心配ではある。

 「家の事が心配だ。」

 しかし、×××を相手に私に何が出来るのであろうか、何も出来はしないのだ。

 助けに行くといっても、自殺行為だ。

 アリス ヒドルフ家。

 我が、アリス家の名である。

 ヒドルフ家に、戻って、事実を伝えたとして、果たして、信じるものはいるだろうか。十二年も逢っていないのだ。私の事など忘れているかも知れなかった。

 ヒドルフ家に手紙を出そうと考えた。

 警告だけでもしておこうと考えたので或る。あれでも、私が小さな頃にお世話になった、ヒドルフ家の住人である。

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