バーミヤン遺跡にて、ホログラムの知能と遭遇する

バーミヤン遺跡に着くと、空の持っていた首飾りが、眩い銀色に輝き光はじめた。

 「こ、これは、なんと。」

 レベッカは驚き、仰け反った。

 「空の首飾りが共鳴している、降魔の儀式か。」

 バーミヤン遺跡には、巨大な正三角形の建造物や、古の生物か、神かと思われし、鳥の守護神の像と、ライオンの守護神の像が立ち並んでいる。柱に囲まれた、神殿の奥には、魔導書を持った、男の像が壁に彫られている、30メートルはある。

 何だか、神聖で、何処か、懐かしい場所だ、と私は思った。レベッカは、遺跡の建造物や、置物、道具を観察し、スケッチしていた。

 首飾り、は遺跡に来てからずっと光っている。遺跡の門を抜けた辺りからずっとだ。

 「特に、目新しいものは無いが・・・。興味深い遺跡だ。」

 レベッカは、遺跡の造設物を目をキラキラと輝かせ、観察し、考察をまとめていた。

 一通り、遺跡を回ったが、特に、アルパカ文明や、天空の城についての記述や、情報は得られなかった。

 遺跡の中心部にある、宝物庫を後にした時、妙な地下通路を見つけた。

 「レベッカさん。この階段、下に繋がってますよ。」

 階段の先は真っ暗で何も見えない。

 「火遊び 灯火。」

 レベッカは火遊びの魔法を使い、火の光で、辺りを照らした。

 「行ってみるか。」

 「はい。」

 

 階段を降りていく中で、首飾の光はだんだんと、強くなっていった。

 「共鳴が強くなっています。」

 首飾の光は、真っ暗な階段を一面照らすほどに輝き始めていた。

 階段を抜けると、広い場所に出た。

 床には、ミステリーサークルで描かれた魔法陣が書かれている。天井は、アーチに成っており、鏡のガラス張りになっている、美しい色とりどりのガラスのアーチだ。

 壁には、壁画が描かれていた。何処かで見た事のある絵だ。

 「ノルドアの絵本と全く同じ絵だ。」

 レベッカは驚愕の表情でぽつりと小声で叫んだ。

 ノルドアの絵本の絵が、描かれている。

水色の配線が光で壁を照らしている。

中央には、巨大な円柱の機械があった。どうやらコンピューターであり、稼働中だ。

「何かの計算をしている。」

 レベッカは中央の円柱を見ていった。

 コンピュータを触る。

 ディスプレイのモニターが付いた。すると、3dホログラムとなって、映像が映し出される。 

「未だ、2000年の時は経っておらんぞ、約束の時まであと、21年。じゃ。」

 映し出されたホログラムには、髭の生えた叔父さんの姿があった。

「お主等は・・・。ああ、なるほど、にしたって、何しに、天空の人間がきたのだ。理由が分からんなあ。全くに、天空と地上は断絶中だろう。」

 髭の男は、何やら思案すると、言った。

「首飾を持っているという事は、御前さん達、天空文化の守護だろう。守護ならば、天空を守る仕事があるはずだ。お主、飛ばされたか。天空は陥落寸前なのやも知れぬな。思ったより重、事態は進んでいるようだ。」

 何を言っているのかさっぱりわからなかった。

「私は、空から落ちて記憶を失くしたため、記憶を取り戻すために、天空の手がかりを探しに、バーミヤン遺跡へやって来たのだ。」

 髭の男は、話をきくと、気の毒そうに言った。

「記憶喪失か。っそれとも・・・、記憶消去魔法による口封じかじゃな。首飾をよく見せてくれないか。」

 私は男に首飾を見せた。

「ふうむ。天空の戦士団、戦士長の紋章が刻まれておるワイ。お主、天空では、戦士だったようじゃな。それも戦士長ともなれば、お主がおらぬことで、困っておる奴もいるであろう。もう、天空は、人間の手に落ちているやも知れんがな。」

 人間の手・・・。一体なんの事だ。

「よく見てみれば、人間が来ているようじゃな。魔力の強い人間じゃな。」

髭の男はレベッカを見ていった。

「人間とは、私の事だ。私はレベッカ。冒険家だ。」

レベッカのピンク色の髪と、目を見て、髭の男は言った。

「アリス家のものか。強力な魔力の理由も解る。」

アリス家とは何なのだろうか。レベッカの事を知っているのか。

「どうして、我が一族の事を知っている。」

「アリス家の呪を知らないわけはなかろう。呪縛だ。引き換えに力を手に入れた。勿論生贄の儀式は未だ続いておるのであろうな。」

生贄の儀式・・・。一体・・・。

レベッカは、目を見開き驚愕の表情を浮かべた。

「ま・・・、さか。あれは事実だったの。」

「どうやら訳ありのようだな。一家の中でも特権を持ったものしか知れない機密にでもな

っているといった処か。」   

レベッカは動揺を隠しきれない様子であったが、やがて

 「空は一体何者なのだ。」

と尋ねた。

「天空の戦士長であり、人間では、無い。鳥人さ。天使の羽を隠しているのか、折られたのかは知れんが、奴は人間では無い。それに、本当の名前もある。」

私には、羽が、あったのか。

鳥人。

どうして、地上に落ちて終ったのか。

頭が痛い。

「天空城に行きたけりゃ。左の扉を抜けた先に行きな。空間転移装置があるはずだ、天空に繋がっている。」

九十度ごとに四つの扉のある、直径50M程の円の床と、天井の場所の中央にコンピュータがある。

左の扉の先に空間転移装置があるらしかった。

「には何があるんだ。」

「言えないねえ、悪いが特定機密事項なんだ。西の扉を開けるのは天使長である、御前の連れがいるからだ。首飾がなけりゃ、そもそも、階段を見つけられなかっただろう。階段は、特定のトーテムと血族に反応して、現れるようになっている。」

だから、階段の存在に気が付けたのか。

壁に突然、階段が現れたが、勘違いだと考えていた。

首飾と血に反応して、遺跡のシステムが壁に階段の道を出現させたのである。

「御前は一体、何者なんだ。味方なのか。敵なのか。」

レベッカは、怪訝に睨みつけた。

「怖いねえ。やめてくれないか。私は、君たちの敵でも味方でもない。今の所はね。約束の時が来るまでは、僕は動く事が出来ないからね。遺跡の守護をしなくちゃならない。」

どうやら、詳しい事は言えないようである。

「そりゃ、残念だ。」


左の扉を開くと、通路があった。

海よりも深い深青色の光に包まれた世界が通路を囲んでいる。深海であった。ガラス張りの壁の外は水である。

「地下に海水があるなんておかしいわ。」

レベッカは、奇妙なものでもみている目で周囲を見渡した。

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