二人は、赤いゲヘナへ入っていった。
「ここ数十年は噴火していないらしいけれど、何時噴火するか分からない為に、街は警戒しているらしいよ。」
火口に住む人間は、火山のいいとことも、悪い処も知っている。いいところ、鉱石や、温泉、観光などのいい処、火山のよさを知っているからこそ、火山の近くにも町は出来るのである。
火口にやってくると、私達は、山の頂上に登って、窪みから流れ出るマグマを見下ろした。
「どうするんだよ。」
「こうするんだ。」
終は、地面に座ると、胡坐をかいて、意識を集中させた。目を瞑って、何かを祈り、念じ、瞑想している。
額が、青色に光出した。
「額が、光ってる。」
赤いマグマが、額の光に呼応するかの様に、輝きだす。脈打っている。
マグマが、青色に輝き、額に向かって、吸収されていく。
すると、マグマは、岩に成った。熱を失ったのだ。マグマの熱エネルギーが、ミルノ粒子に変換され、ミルノエネルギーにされているのである。
マグマのエネルギーをミルノ粒子に変換し終えると、終は言った。
「我はかつての世界で、政府に追われ、処刑される寸前の処で、存在濃度の力が覚醒し、後に、八年の間に様々な存在濃度の世界を旅してきた。」
終の体からは、青色のオーラが出ている。右腕を横に振って掌を広げると、穴が出来た。
「存在濃度を行き来するゲヘナだ、穴を通って存在濃度を変える事が出来る、何年も行き来してきた、額の力の扱いは、旅の中で学んだ。アルマゲスの夜中だ。どの存在比率の世界であれ、アルマゲスの夜中に成れば、等しく滅びる。額の一族の存在が知られていない存在比率の世界、知られている存在比率の世界、無数の可能性が、世界を創り出していた。」
終が。右手を振るうと穴の色が赤色に変わった。
「赤色の穴は、空間移動の時空歪曲空間。君の言っていた、湊川 翔の話。地底ってのがあるのだとすれば、我が先祖のヒントがあるやも知れぬ。一緒に来ないか。」
左手を差し出した。私は手を取って、終と赤いゲヘナに入った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます