石人様から、のお告げ、元の世界に帰る。
「そう、急ぐな。着いたぞ。」
其処は、石の神殿があった。
その中央に石の祠があり、奉られている。
「此処、何処なんですか。」
「此処は、石人様の住処じゃよ。」
其処には、杖を持った地底人がいた。
「誰ですか、あなた。」。
地底人は、いずれにせよ、身長が低く、肌が白い、日光を浴びれない為に、食物から、ビタミンを生成する様に、独自に進化している。
「この地底の長の一人だよ。」
仮面の男は、そういうと、頭を下げた。
「ようこそ、地底へ。その額は、なるほど、そういう事か。」
地底人の長は、そう言って、一人何か、納得したような様子で、頷いた。
「サマエルよく、帰った。地上は大変な事になっておったじゃろう。そして、そこの客人は。」
「極寒の中、倒れておりましたところ、額を見ると、あの十字架がありましたので、もしやと、考え、連れて来た次第であります。」
この仮面の男はサマエルという名前らしい。地底人の割には、色が黒く、背の高い、私の感覚でも、175センチメートルは、あるであろう、身長だった。
「どうして、サマエルさんは、地底人なのに、黒く、背が高いのですか。」
「ああ、其れは、サマエルが、地底人では無いからだよ。サマエルは、日光を浴びて育ったからじゃ。地上の探索をする為に、地底から出ていったのじゃ。時時こうやって、地底に帰って近況を報告しにくるのじゃ。」
地底には、サマエルさんの様な、地上に出ている、地底人がいるのだろうか、と思った。
「地底から、出ようとしたのは、サマエルだけじゃ。サマエルは、不思議な子じゃった。儂の孫じゃ。両親は、地底人で、靴屋をして居ったが、あの隕石により、地底は激しくゆれ、建物の倒壊によって、死んで終ったのじゃ・・・。儂は自分の子を守れんかったのじゃ。全く自殺ものじゃね。はははあ。ま、そんな事は良い、思い出したくない事を思い出してしまったわい。親より、早く死ぬのが、最大の親不孝じゃな。幸い孫が生きておったので、何とか、儂も、己を奮い立たせて、頑張っておるのじゃ。」
と、そんな事らしい。
長の名前は、サナトルと言うらしい。
サナトルは、石人様と、言って、祠に話しかけた。そういった、風習があるのだろうか。儀式事な何かだろうか、とはじめは、そう考えながら、其れを見ていた。
が、その祠から、石が動きながら出てくるではありませんか。
丸い、灰色の石で御座います、其れが動いて出てくるでございます。
其れは、種や仕掛けが或るものだと、考えて、観ておりましたが、どうでしょう、その石が、話出すのです。そして、人の姿に変身すると、まるで石像の様に、なって、歩き始めました。
「我は、石人の、石守 真。」
其れは、古より、語り継がれし、十二種族が一つ。
石人
「石が喋ったあああああああ。」
驚いた。石が喋ったのである。石は。姿を自由に変えられるらしい。骨格を作り出し、肉体を自在に作る事も出来るようである。
「せいしいぬねこぎょかいとうしぞうとらきせき」
その石は、何かを呪文のように、唱え始めた。
「世界中に散らばった、十二の種族の事さ。聖 死 犬 猫 魚 海 獅子 象 寅 樹 石。 かつて、世界は、一つであった。あの忌まわしき人間どもが、我らを陥れ、破滅に追い込む迄は。」
世界
宇宙
存在
宇宙は、137億年前にはじまった。
其の後、10の18乗から25乗の間に、熱的死を迎え、27乗で、ビッグ・クランチを終え、ビッグ・リップ、真空準安定事象により、相互作用は、収縮し、一つに固まるか、あらゆる相互作用を離れさせる、つまり、拡張して、飛び散る。
其れが、宇宙の終焉だ。
宇宙の始まり。
その時、あらゆる力は、一つだった。
物質は、自発的超対称性の崩れにより、質量を手に入れた、ヒックス期待値の増加は、あらゆる物質に質量を与えた。
「人間は、あらゆる存在濃度の世界で、生まれた。137億年前の宇宙の始まりから、45
の億年前の、水の惑星の誕生。未だ人類は、人類以外の知的生命体を知らない。」
石の像、石守 真は、続ける。
「宇宙は、広すぎる、あらゆる人類の知る、47億年前から、続く我らが、地球の形は存在濃度によって異なるのである。広すぎる宇宙の中で、仮に宇宙人、地球人以外の、知的生命体がいたとして、出会う確率は、一パーセントにも、満たないのだ。」
一パーセントにも満たないとして、どうだろうか。
其れが、一体、何なのか、この石像は、何の話をしようとしているのだろうか、先が見えない。結論が見えない。
「宇宙なんてのは、未知な部分が多すぎるのさ。宇宙人なんてのは、妖怪、化け物の類、いわば、人間の想像の産んだ産物なのさ。」
人間の産んだ産物 エイリアン。
「可能性の話さ。可能性が、存在だ。人間の想像と、論理による、仮説は、数々の文明を生み出したのだ。」
存在 宇宙人。何を言っているのだろうか。訳が分からない。
「いいのじゃ、未だお主には、分からぬかも知れぬが、存在とは、意識の流れなのじゃ。世界には、外と、内がある。本来は。無なのじゃ。そして、此れから話す事が、お主、額の十字架の一族のお主にとって、重要な事となる。」
此れ迄の話は、前置きの様なものだったらしい。
「我は、観ての通り、人類では無い。我は、石じゃ。石は、本来は、この世界には、おらんが、我は、一億年前に、この世界に飛ばされた。かつては、別の存在濃度の世界にすんでおったのじゃが、存在飛ばしに巻き込まれ、この世界に飛ばされたのじゃ。」
存在飛ばし。其れは一体何の事なのだろうか。
「お前等のような、額に十字架の付いている奴は、人類では無い。○○○族だ。」
○○○族。何なんだよ、その種族。
「一億年前、人類によって、十二種族が争い、戦争をする様になったあの頃、人類以外の全ての種族は、お互いを潰し合って、滅びる処だった、聖人の中の、ある一派は、その事に気が付いていた。そして、存在生成装置を発明したのである。」
存在生成装置は、何の事だろうか。
「存在の濃度によって、世界は、無限に存在する。その存在を操る、装置を開発したのだ。其れは、遺伝子にDNAに刻まれている。聖人の中のある一派は、額に十字の紋章が浮かび上がっている。それは、彼等、彼女等の、生命進化の証だ。」
そう言うと、石守 真は、丸いカプセルを宙に投げた。
「此れは、存在生成装置の遺伝子構造を含んだ、カプセルだ。此奴を見て居ろ。」
カプセルは、徐々に薄くなっていった。その存在が、そして消えたのだ。
「此れが、存在濃度さ。」
「あの、カプセルは何処へいったのですか。」
「此処とは、違う存在濃度の世界さ。ほら、戻って来たよ。」
カプセルは、やがて、地面に落ちた状態で、現れた。まるで魔法のようだった。
「主たちの様な、額に十字架の一族は、力さえ取り戻せば、自由に存在濃度を変え、時空を移動する事ができるってわけさ。こいつは、一億年前知り合いだった、額に十字架の一族の
疾風 澱 という奴から、貰った、存在生成カプセルさ。」
確かに、存在を操る事の出来る、種族が存在するのかも知れないが、其れが自分であるとは、湊川 翔には到底思えなかった。
「へええ、ま、到底信じられないがな、私が、その○○○族で、存在濃度を操れるだなんて。」
「無理もないさ。だが、君は、この世界から、別の世界に行く運命にある。もう、直ぐにでもだ。本来の歴史ならば、あのような隕石は落ちては来ない。あれは、合図なのだろう。この世界ももうじき終わる。額に十字架の紋章が現れたのは、その前兆なのだろう。向こうの世界の私に行っておいてくれ、御前は、役目を果たしていたと。」
何を言っているのであろうか。
「何言ってんだ。あんた、訳が分かんねえ。向こうの世界の自分、何の事だ。」
その時、額の十字架が、青色に輝き出した。
「何だ、何なんだ、額が痛てええ、うわあああああ。」
気づくと、私は、中学校の制服を着ていた。
「此処は一体・・・。」
其処は、極寒の地では無かった。
夏の蝉がミンミンと、ツクツクボウシと、カナカナカナと、鳴いていた。日暮らしの無く声が、何故か、涙を運んだ。
懐かしい世界だ。隕石の衝突により、寒冷化し、人口が激減していない世界だ。
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