失われた世界で、地底文明に遭遇する。

 俺は、湊川 翔。

 何処にでもいる、平凡な男子中学生だ。

 いつも通り、学校に通って、授業を受けて、部活をして帰る。其れを繰り返す。休みの日は友達と遊ぶ。そんな、何でもない。日常を過ごしていた。

 「なんだありゃ。」

 人々は、空を見上げ絶望した。

 天気予報は、隕石だった。

 だから、其れは理解していた。

 世界中の軍隊は、其れを打ち落とそうとしたが、打ち落とすのには、大きすぎた。

 核兵器の使用も行われたが、隕石は、世界中に散らばって終った。

 地球は、寒くなった。

 氷に覆われ、人々の人口は、八分の一になって終った。

 食料は無い。

 そうして、じわじわと人々は死んでいった。

 一部の人間は、復興をしようと、石油を燃やし、発電し、人の住める場所を作った。食べ物は、人工的に創られた栄養食品と、室内栽培による、植物、培養肉、肉は高級なものとなった。

 俺は、もう、限界だった。

 世界は、変わっちまった。

 何度も祈った。

 祈り続けた。毎晩、毎日、この世界を呪った。

 

 「こんな、世界になっても、希望を捨てずにいきてりゃ、いい事あるさ。」

 確かに人類の力はすごかった。直ぐに復興した。都市部に高層ビルが建つ事は無くなったが、家の中は、暖房で常に温かい。農場や、牧畜場では、食料が創られ。科学研究もおこなわれている。人工知能と機械によって自動的に、土地を開発し、パイプを敷き、石油を回し、水道を確保した。こんな極寒の中では、人の手では、外を開発し、資源を確保するのは、絶望的であったのだ。」

 

 外には、手の付けられなくなった、放射線塗れの土地が存在する、手の付けられなくなった、原子力発電所は、未だに危険物を含んだまま停止している。

 

 だのに、世界の上の人達は、利害関係の調整と、権力争いに必死だ。

 

 人類は、人類をまとめる術を知らない。

 

 「此れは、未だ、いい未来だ。」

  私は、家の中が息苦しく感じて、極寒の外に出た。なんと、無く夜風にあたろうと、思ったので或る。

 外は一面銀世界だ。

 何となく、辺りを歩いていた。

 大きな岩があった。その穴に入る。

 寒い。防寒服を着ているが、身体が凍ってしまいそうだ。

 天気予報では、マイナス五十度だと言っていた。

 私は、自殺しようとしているのだろうか。

 何だか、眠い。

 「おい、てめえ。大丈夫か。おい。」

 気が付くと、俺は、洞窟のようなところで、起きた。焚火がしてあった。

 「あのあたりは、冷える。」

 そいつは、お面を被っていた。鉄仮面とでもいうのか。見た事のない、民族衣装をしていた。

 「あんたは、一体。助けてくれたのか。」

 「好きでやっただけだ。礼には及ばないよ。」

 男の目は、どんな目よりも優しかった。がその奥には、我々人類の忘れた何かを持っているような気がした。

 「ありがとう。」

 「・・・。おめえさん。この世界の事をどれくらい知ってんだ。その様子じゃあ、何も知らず、隕石が落下して、世界が寒冷化し、こうなったと、思い込んでいる様に見えるが、其れにその額の十字架は。」

 「おっさん、額の事知ってんのか。」

 「その様子じゃあ、本当にこの世界は、失敗しちまった世界なんだな。」

 「失敗。」

 失敗とはどういう事なのだろう。仮面の男は何か知っているのだろうか。世界。そもそも、世界ってなんだ。世界。世界は、二つ以上存在するのか。分からぬ。分からぬのじゃ。

 「額、前髪で隠してんのか。本能的にそうしてるんだろうな。何から話せばいいのか。」

 仮面の男は、一旦、間を開けて話始めた。

 「結論から言って、私にも、世界が何処へ向かっているのかも、全てがはじめから決まっていたのかも分からなかった。只、一つ言える事がある。其れは、御前は、○○○族の末裔だという事だ。世界中に散らばっている、お前等の因子は、忌み嫌われている。存在を操る、○○○は、世界中の生物から、畏れられ時には、敬われていたが、仲間になれた事は、無かった。危険だからだ。存在濃度を自在に操れる、○○○族は、己の存在を自在に変える事が出来る、形を変え、濃度を変え、そして、異なる世界を幾つも作り出す事が出来る。」

 「何が言いたいんだ。」

 「つまり、御前は、危険だと、世界に認識されているって話さ。そして、世界はこの世界だけではない、無限通りの世界が存在しているって話さ。其れを御前は、自由に行き来できるってわけさ。」

 「へええ。そりゃあ、いい。とっとと、この世界から、さらばしたいものだぜ。」

 「御前、この世界に、名残、や愛着はないのか。」

 「分かんねー。もう、私の知ってる世界じゃあねえんだ。」

 分かりません。分からないのです。そんな事を急に言われても解らないのです。

 私は、この世界以外の世界に行く事が出来る、其れは、私に帰る力があるという事ではないでしょうか。分からないのです。

「おめえ、大事な人とかいねえのかよ。この世界に未だ生きている、家族とか、親友とか、女とかよお。」

 育ててくれた両親は、隕石の衝突に巻き込まれて死にました。兄弟姉妹ももういません。私は、偶然生き残ったのでした。

 「ま、あの隕石の衝突じゃ、大半の人間は死んだか。起こった事は変えられない。只、此の現状を打破する方法を探しに行く事は出来る。御前、ちょっくら付いてこい。この世界の裏側を見せてやるよ。未だこの世界は死んでねえ。付いて来い。」

 仮面の男は、立ち上がると、やがて、歩き出した。

 洞窟の奥は何処かへ繋がっているらしい。

 その洞窟の奥に繋がる道を歩いていた。

 洞窟は細長く続いていた、鍾乳洞や、鉱石で辺りは、輝いていた。

 「すげえだろ。此れだけの鉱石があれば、半導体も作れるってもんさ。其れに、ドラマカライト鉱石もある。」

 「誰が、こんな場所を発掘したんですか。」

 「この世界に何千年も昔に隕石が落ちた、その飛来物が、土に埋まって、出来たのさ。其処を、発掘した連中がいる。もうすぐだ。時期に、彼奴たちのいる、アジトへ着くさ。」

 其処は、洞窟の穴から、続く道の奥に、あった、地下何メートルくらいの処にあるのだろうか、まるで地下文明である。

 「俺ら、実は、地底人なんだ。何千年くらい前だったかは分からないが、ずっと、大昔から、この星に住み始めた。人間とは、干渉し合わない協定を結んである。」

 地底人。そんなものは、いるとは思えないだろうし、考えようによっては、いるのかも知れない。其れは、事実、人類が未だ、地下の本の一パーセントも、開拓出来ていないからだ。其れは深海にしても同様である。

 「此処には、崇め、奉られている、知性を有した石が存在する。」

 地底人と言っても、見た目は殆ど人間の其れと、同等である。彼等が、地底に住まうようになったのは、今から、五千年程前の事、地底人もなんら、その遺伝子は、人類であり、人類の一部であったが、彼等は、地上の人類との、交易の一切を絶ったので或る。

 そうこうしている、いる内に、地上の人類の歴史から、忘れられたという訳である。 

 地底人の人口は、非常に少なく、地上の千分の一程度で或る。

 「あの隕石で、地下に埋もれて死んだ、同胞は、数えきれない。地底人は絶滅の危機さ。まあ、しかし、未だ全てが絶えた訳じゃあねえ。」

 地底文明

 地下に、大きな空洞が或る。どれくらいの大きさだろうか。4000平方メートルくらいかと思われる、高さは、十メートル程の、洞窟で、周りが、巨大で、固い石で、囲まれている。

 街があり。

 家々が、立ち並んでいる。

 工場の様な場所も或る。

 食料は如何しているのだろうか、と思った。

 其処には、農園があった。

 タンパク質は、大豆から、摂っているのだという。

 地底の町を、仮面の男と歩く。

 仮面の男は、一体何処へ向かっているのだろうか。

 私に、この世界の裏側とは、何の事なのだろうか。地底にこんな、文明社会があるだけでも、私は驚いた。これ以上何があるというのだろうか。

街を歩いている途中、仮面の男は、地底についてあれこれ話してくれた。

 地底に或る、空洞は五つあり、それぞれ、第一区間から第五区間迄、地底トンネルで、繋がっている。

 地底文明は、その地理的な、要因から、ドリルを含む、機械工学が発展しており、高度な、技術力を持っている。

 別の地底の町と、地底の町を繋げるのに、地下列車が通っている。

 地下列車は、地底を繋げる交通の要だ。

 此処は、地底第四区間らしかった。

 地底は、その五つの区間が、更に五つ世界中に広まっているのだという。国の様な概念もあるくらいだ。

 インターネットを介して、連絡を取り合う事も可能だ。

 地下ケーブルを介して、情報通信は、非常に発展しており。発電所等々も存在するくらいだ。

「地底人ってのは、肉が食えねえのかよ。」

 「そうだね。肉は、食べられない。代わりになる植物を育てて其れを食べて居るってわけさ。地上にある作物を地下で、品種改良したものさ。」

 水は、地下水を汲み上げている。

 地下には、人工的に創られた池が或る、其処には、魚が泳いでいた。

 どうやら、魚は食べられるらしい。

 「肉は、食べられないと言ったが、実は、食べられるのだよ。培養肉だがねえ。鶏と、牛、豚の培養肉を作っている。」

 地底の文明は進んでいるらしい。

「其れで、知恵を持った石とは、何の事なんですか。」

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