○○○の一族
そんな、話。文書を読み進めると、書かれている。
61パーセンントの世界にわたしたちは、いる、待っている。
最期の行には、この様に書かれていた。
「此れで、信用してもらえたかな。」
信用には、値するだろう。
贋作だとは、到底思えなかった。見た瞬間の直感のようなもので、本物だとわかった。
「どうやら、本当のようだな。この装置は、その設計図から、再現して作ったものなのか。」
「そうだ。」
「私は、行くゾ。」
返事が、無かった。
かつて、我々の祖先が逃げ延びたという世界。
祖先に会って話が訊きたかった。
額の一族の権利を獲得し、先に何があるのか。額の一族とは一体何なのか。
「どうした。」
「残念だが、燃料が、足りないんだ。かつて一億年前にも、同じ様な事が、あったのだろう。燃料不足で、一部の者は、この世界に取り残された。結果、お前たちの先祖が、残る事になったのだろう。」
そうか。なるほど。
「燃料かあ。どれくらい必要なんだ。」
「大型の火力発電所 五基分のエネルギーで、一人分さ。」
「そんなエネルギー何をどうしたって、一般人が、集められる量じゃ、ないぜ。」
「そうだろう。そうだろう。だから、此れだ。」
ビルの地下に其れは在ると、言っていた。
「エテナの目によって、私は真相を知っている、知っているが何も出来ないのだ。○○○族の事についても、額の一族の目的や理由についても知っているのだ。だが、口外すれば、目が焼き切れて死んで終う。エテナの呪だ。」
特定機密。
エテナの目の限界だ。
殊に、○○○族の事については、口外が禁止されているのだ。
「だから、教えてくれないのか。」
「ああ、そうだ。私は傍観者でしかない。出来る事は、御前を、存在濃度61%の世界に連れていく事だけだ。」
階段を降り、地下に着くと、其処には、螺旋状に囲まれた建造物があった。
「此れは・・・。」
「此れは、核融合炉だよ。試作品でね。」
「すげえな。お兄さん。」
「まあね。」
カルドレアの話によれば、この発電装置は、未だ未完成だそうだった。
「実は、此れが完成してから、君たちにこの話を提案しようとしていたんだが、君の勢いを見ていると、不安になってね。その内政府に消されるだろうからね。」
社は、分かっていた。
確かに、この一族は、力を付けて来たのだ。しかし、其れは、未だ、政府にとって取るに足りない存在だから、見逃されているというだけの事だ。
しかし、奥村 恋は、なぜか殺された。未だ其処迄、組織が、有名で無かった頃に。
「どうして、恋さんは、政府に狙われていたんだ。」
「ああ、その件か。そりゃ、彼女が、特別だからさ。あれは、お前等の一族の王の家系だ。彼女の祖父、曽祖父は、化け物級の革命児だった。政府は、一族の根絶を達成したと、思っていたんだ。隔世遺伝を利用し、彼女両親には、額に十字架の出ないように、なっていた。」
「と言う事は、奥村は、仮の名前で・・・。」
「ああ、その通りだ。教科書にも載っている、悪魔の一族○○○が、奴の一家の系列だ。」
道理で、政府から狙われるわけだ。この世界で、〇〇〇族といえば、大罪人として、教えられる。かの一族は、その名前さえ、言ってはならぬとされ、その呪を受けている。
「其処迄して、政府が、その一族の事をひた隠しにする理由は何だ。」
「そりゃ、単純さ、誰だって出来る推測の範疇にしかない、存在率の操作が出来る、○○○の末裔を畏れたのさ。○○○族は膨大なエネルギーを其の額に宿す事で、存在率を操作し、世界を変えてきた、というより、調整してきた。そうあるべき姿に調整してきたのだ。」
「存在率を変える位、別に政府にとって、影響があるとは、思えない。一体どうして、政府は、○○○族を目の敵にするのだ。」
「異質なものを連れてくるからさ。別の存在比率の世界に存在する、化け物や、妖怪、別の知性を有した動植物 其れ等は、一億年前の大戦にて、人間に堕とされ、絶滅したのだ。我ら、○○○の末裔を含めてな。」
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