第9話 九つの試練
ボーンサーヴァントによって、九つの神殿の内部を探索してみたが、その中はこの草原と全く異なる異次元となっていた。
こうなってくると、この草原が異空間なのか俺たちが元々居た迷宮が異空間なのか分からなくなってくるな。
九つの神殿内部は、様々な光景が広がっているがどれも構造自体は同じだ。
飛行可能なボーンサーヴァントに偵察させたが、大量に配置された雑魚モンスターの奥に一匹の強力な個体が居る。
ボスが居る迷宮って訳だ。
『火山から雪山まであったけど、どこに行きたい?』
「熱くも寒くもないとこ」
柊さんの回答を元にした結果、俺たちが選んだ神殿は如何にも『闇の神殿』とでも呼ばれていそうな場所になった。
「うち肝試しとかこういうの苦手なんだけど」
『でも後は暑かったり寒かったりするよ』
それに柊さん恐怖耐性あるし。
中は墓地が広がっており、墓石と思われる石板が幾つも立てられている。
「ヴォオオオオオオオオ!」
「カカカカカカ!」
ゾンビとスケルトンが現れた。
「ダブルスラッシュ」
スキルの同時発動すら必要とせず、柊さんが二連撃で切り裂いた。
強すぎだろ。
ただ、ミノタウロスよりもずっと下位の種族だろうからレベルが上がる事は無かった。
『いいね。相手にならないなら、色々とスキルや連携の確認をしておこう』
「確かに、いざとなった時のために色々決めとかないとね」
【装備者伝心】のスキル効果によって意思の疎通は可能となったが、やはり型の様な物を作っておくべきだ。
現状の戦闘能力は、
『能力融合の確認からやっていこうか』
「おっけー」
『ボーンバレット+ブラスト【
『スラッシュ+ボーンスラッシュ【
『ファントムスラッシュ+スラッシュ【
『ダブルスラッシュ+ボーンスラッシュ【
『エンチャントブレード+骨形変形【剣威】を獲得しました』
『エンチャントブースト+骨形変化【不動鎧】を獲得しました』
『クイックブラスト+ボーンバレット【
どうやら、永続的に発動し続けているパッシブ的な効果のスキルはこの【能力融合】のスキルの対象にならないようだが、それ以外のアクティブスキルは簡単に融合する事ができた。
しかも全部が元となったスキルよりも大幅に強い。
これは、基本スキルを使う機会は大分減ったかもな。
勿論、これらのスキルは俺が柊さんに装備された状態でないと使えないが、それでも今までのただ足し算していた攻撃よりは大幅な威力上昇だ。
『よし、準備運動は十分かな』
地面に転がる大量の骨の破片と腐敗した肉を眺めながら、俺がそう言う。
柊さんもそれに「そうだね」と返事を返した。
奥へ進んでみると、やはりスケルトンやゾンビの更に上位種の魔物が出現した。
魔法を撃ってくるスケルトン、【リッチ】だ。
『突っ込んでいいよ』
「よし!」
俺の言葉に従い、柊さんが一気に走る。
その間にリッチは詠唱を終え火球の魔法を放つが、俺はそれに合わせて【装備者補助・結界】を発動させた。
正六角形の結界が柊さんの前方に出現し、柊さんとの相対位置を保ちながら一緒に走る。
魔法が結界に拒まれた消滅。
既に柊さんの
「『【
俺と柊さんが同時にそう言うと、俺が剣とした腕部分の骨が光った。
スラッシュとボーンスラッシュを足したこのスキルは、一撃の破壊力に置いて俺たちが持つスキルの中で断トツの力を持つ。
「カッ……!」
顎の骨を目いっぱい開いて、リッチは両断された。
『レベルが2に上昇しました』
『スキルポイントを1獲得します』
そんな声と共に、更に多くの骨の鳴るような音が辺りに響き渡った。
通常種のスケルトン、加えてリッチが俺たちを囲む様に現れている。
「囲まれたみたい」
『うん。でも心配は要らないよ』
リッチの魔法の威力は大体わかった。
集中結界で守ってたが、これなら結構大きなサイズの結界でも破られる事は無いだろう。
『一匹づつ確実に行こう』
俺の体内の魔力的な感覚も無くなる素振りは無い。
それにもしもダメージを負っても、まずは鎧になっている俺がダメージを受ける。
そして、俺には【自動骨再生】のスキルがあるから勝手に回復する。
万が一柊さんに攻撃が通る様なら、【ボーンサーヴァント】を囮にして逃げればいい。
――少なくとも、負ける気はしないな。
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