第4話 進化
・スケルトンソルジャー
・スケルトンメイジ
・ゾンビ
『条件を達成した事でユニーク個体への進化が可能です』
『上記の種族に加え、【スケルトンアームズ】への進化が可能となります』
今、俺が考えなければならないのは柊さんの身体を元に戻せるようにするという事だ。
成長率だとか成長限界だとかは度外視でいい。
ソルジャー、名前からして近接戦闘系。
メイジ、魔法タイプ。
ゾンビ、イメージだが血肉がひっつくのだろう。筋力は上がりそうだ。
アームズ、直訳なら『武装』ってとこか。今のスカルアーマー状態とかの事だろうか。
欲しいのは回復手段。
だったら可能性がありそうなのは【アームズ】か【メイジ】だ。
でも、メイジってヒーラーって感じしないんだよな。
アームズ、これなら装備者の能力を上げる様な効果のスキルを手に入れる事ができるかもしれない。
そこに、自動回復とかがあれば御の字。
「カカカ(スケルトンアームズだ)」
『種族進化を実行します』
『
『種族
『称号
『進化の褒賞としてスキルポイントを5獲得します』
『種族ランクが上昇した事で、身体能力が向上します』
―――――
種族『スケルトンアームズ』
種族レベル『0/30』
【スケルトン1/25】
【スケルトンアームズ0/25】
【異世界人5/25】
【知的武装0/25】
保持スキルポイント『9』
スキル【骨形変化】【初級言語翻訳】【初級収納】【初級鑑定】
―――――
俺はすぐさま、スキルツリーの獲得可能スキル一覧を表示させる。
――
【スケルトン】
15ボーンサーヴァント
20ファントムスラッシュ
25シャドウステップ
【異世界人】
15中級収納
20中級鑑定
25古代言語翻訳
【スケルトンアームズ】『条件を満たしていない為スキルポイントを割り振る事ができません【スケルトンツリー10以上】』
10骨形変化 → 武装骨格変形
20ボーンバレット → 骨弾製造
【知的武装】
10装備者伝心
20装備者補助・回復
――
見つけた、知的武装の装備者補助・回復。
詳細を見てみると、やはり俺を纏った存在の傷を回復させるスキルだ。
これ以上、柊さんの身体に無理はさせられない。
俺はスカルアーマーを解除し、彼女を寝かせる。
大量出血と運動による疲労。
目を覚ましてくれれば進化して新たなスキルを獲得してもらう事も可能だが、衰弱は一刻と酷くなっている。
今、俺が持っているスキルポイントは9。装備者補助・回復を習得するにはあと11ポイントが必要だ。
昔から足は遅い方だ。幼稚園のかけっこでも一番を取った事なんて一度もない。
でも父さんからは真剣に走ってないから足が遅いだけだと言われて来た。
ずっとそんな訳ない。父さんがそう思いたいだけだろと思ってた。
でも、もうそんな言葉にも縋りつきたい気分だ。
俺は、柊さんを助ける為なら誰よりも速く、力強く走って見せよう。
「カカ(待ってて)」
直ぐに、戻るから。
柊さんをダンジョンの横道の、誰も入りそうにない隅へ移動させ隠す。
今、俺に出来る事は彼女が目覚めるまで待つ事なんかじゃない。
――レベルを上げる事だ。
奥へ奥へ、進んでいく。
ゴブリンなんかじゃレベルアップするのに10匹くらい殺さないといけない。
進化した影響だろう、必要な経験値が増大している。
それじゃ効率が悪すぎる。
もっと経験値の多い、もっと強力な存在が居る場所へ。
「グルルルルゥゥゥ!!!」
火炎を纏う猪の様なモンスター。
水を吐き出す大亀の様なモンスター。
蹴りが岩を砕くダチョウの様なモンスター。
俺は、その全てを殺しつくした。
『レベルアップ』
『レベルアップ』
『レベルアップ』
『レベルアップ』
…………
……
『スキル【装備者補助・回復】を習得しました』
結局、8時間以上かかってしまった。
俺に睡眠も食事も必要ない。ただ殺し続ける事だけに特化できる存在。
今だけはスケルトンになった事を感謝した。
「うち、夢を見たよ。ツッキーが似合わない様なカッコいい事してる夢」
「カカカ(俺がそんなにかっこいい訳ないだろ)」
「そうだよね。こんなときでも無表情だし」
「カカカ(それは骸骨だからだよ)」
「あは、ウケるね」
ウケねぇよ。
あぁ、こんな軽口が叩ける俺は幸せだ。
もし一人でダンジョンに居たとしたらきっとここまで余裕を持っていられなかった。
「カカカ(もし、人間に戻れたら)」
「ん、何?」
「カ(付き……)」
「うーん、それは無理だね」
うぅ、知ってたけどね。
いや、知ってたけどさぁ!
ねぇ、なんか辛辣じゃ無いですかね!
いやしょうが無いんだけどね!?
「今から付き合って、こんなゴブリンなうちでいいならだけど……」
「カカカ……」
「書いてくれなきゃ分かんないって」
「カカカ(俺もスケルトンだけどいいの?)」
「良いよ」
「カカカ(その、俺から言っておいて難だけど、こんな非常事態の女の子に漬け込むとか大丈夫かな)」
「ばかだね。女の子にとって恋愛はいつだって非常事態だよ」
「カカ……」
俺は思考が止まった。
願いがふと叶うと頭は真っ白になるらしい。
「好きだよ、摘希君。いつか、話せるようになったら君の口からも聞かせてね」
ゴブリン特有の重低音な野太い声で彼女はそう言った。
なのに、俺にはその声すらも心地よく聞こえたのだ。
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