第3話

どんな魔法があるかを一通り見た後ロイは「祐樹くんは泊まる所が無いんだよね。だったらあたしの家に来ていいよ」と言って謎の一枚の紙を渡してきた。

「これは......?」

「あたしの家までの地図的なやつ。じゃあ今夜来てねー」

「ああ......」

そう言ったロイは、店裏に消えて行った。


ロイの店を後にした俺は、ロイの家に行く以外どこにも行く予定が無かった。

日が暮れるまで時間がある。

どうしようかなと考えていると。

「――た、助けてっ!!」

「えっ......!?」

どこからか助けを求めるような悲鳴が聞こえた。

その声がした方へ行くと、そこは何かの受付をする店だった。

「あ、あの......どうしたんですか?」

俺は悲鳴を上げたと思われる女性に声をかけると。

「た、助けて......」

震えるような声で俺の背中に回り込む。

「え、えっと......まずは落ち着いてください。その何があったんです?」

「あ、あの男......っ」

「男?」

その女性が指を指す方を見ると、結構体格がごつい男が立っていた。

「ああ......」

その男は俺の目をジッと見る。

いや普通に怖いんですけど。

「お前、そこをどけ」

重々しい声は、非常に怖い。

「えっ......?」

「どけって言ってんだろーが!」

「おわっ!?」

その男は近くにあった椅子を俺めがけて投げてきた。

「あ、あぶねぇ......っ」

とっさにしゃがんだおかげか、その投げられた椅子は俺に当たらず、窓ガラスを突き破っていってしまった。

「ど、どうしたんですか!?なにかそんなに怒るようなことが――」

「俺はな、その女が憎いんだ。だからこうして椅子を投げた」

この女が憎い?どうしてそんな......。

「......そうやっていつも女性を傷つけてきたのね」

俺の背後から恐る恐る出てきた女性は、男にむかってそう言い放った。

「ああ、どいつもこいつも悪い女ばっかりだったからな」

重々しい声はまだ続く。

「......仕方ないわ、そういう人は死ぬのが当然よ!」

「えっちょっと......!?」

その女性はそう言って右手を突き出した。

「ここでお別れよ!『フィール』ッ!」


「なっ......」

凄い光景を目撃してしまった。

その女性が放ったのはフィールと言う魔法。

その男の姿は跡形もなく消し去っていた。

「はぁ、はぁ......っ」

なんだろう、俺はこの場にいてはいけないような気がしてきた。

「......っ!?」

俺はその女性と目が合ってしまった。

......逃げなくては。

そう思った俺は、一目散にその場を離れた。



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