第2話
この世界にはいろんなものがある。
例えば、日本と同じく食堂や市場など。逆に日本にないものの代表で言えば、サキュバスの店だったり魔法が買える店といったものなど。
そんなことより、俺はここ数日間ずっと野宿で過ごしていた。野宿でも意外と生活できるものなんだなと思った。
ただ、やっぱりどこか泊まれるところで一休みしたい。
そう思った俺は、とりあえず近くにあった店に入ることにした。
「――んあー、いらっしゃいませー」
なんだか眠そうな声で俺を出迎えた店員。
その店員は、あちこちが少し発達している人だった。しかも童顔。
「あのちょっと聞きたいんですが、ここら辺に泊まれるような場所ってないですか?」
「んー......あいにくだけど、ここら辺で泊まれる場所っていうのは無いんだよね。何でかは分かんないけどー」
目をこすりながらそう言う店員。やっぱり今まで寝てたのかな......。
「ああそうですか......」
まさかの泊まれるところがないという事実で俺はガクリと肩を落とした。
「どうしたの?というか寝泊まりできるところを探してるっていうのは......君、別な世界から来た人かな?」
「えっ?あ、はいそうですけど......ってか、なんで分かったんですか」
「それが、数日前にも同じことを言ってきた人がいてさー。その人は、日本とかいう世界から来たんだーって言い張ってた」
「あー......」
俺以外にもこの世界に来た日本人がいるということはどういう事だろうか......。
「それはそうと、この店はどういう店なんです?」
「うちは基本的に魔法とかを扱っている店だよ。魔法にもグレードがあって、ここでは中級魔法まであるよ」
魔法かぁ......なんかかっけぇ。
「魔法っていうのは、やっぱり資格とか必要なんですね......?」
「まあそうだねー。基本的には、魔法専門の学校に通って魔法の事について学んだり実践したり。そしてそこを卒業するころには、いくつかの魔法を持った状態で卒業するんだー。まあでも、その魔法っていうのは攻撃的なものとかじゃなくて、回復魔法だったり弱いモンスターを呼び出したりする程度のものだけど」
「へぇぇ......その話を聞く限りだと、あなたは卒業生と言う事ですか?」
「うんそうだよー。時々その学校に行って、魔法の事について教えたりするんだー。ああそうだ、自己紹介を忘れてたよ。あたしはロイ。君は?」
「俺は祐樹。それで......ちょっと魔法ってどんなものかを見てもいいですか?」
「うんいいよー」
俺はこの店内を歩き回ることにした。
見ると、本棚のような棚が数多くあり、その棚には瓶や謎の小物などが置いてあった。これが魔法なのか......?思っていたのは、なにかセリフ的なのを言うと時間が止まったりするものだと思ったのだが......まあいいか......。
「けっこうあるんだな......」
魔法と言えどもそこまで数は無いと思っていたが、まさかこんなにも数があるとは思わなかった。
多分......数千個は超えてると思う。
「ああ祐樹くん、そっちの棚は触ると爆発するから気を付けてねー」
「げっ、まじか......」
というか触ったら爆発するものはどうやって運ぶのだろうか。なにか特殊なやり方があるんだろう。
「――そっちは瓶の蓋を開けると爆発するから――こっちは水に触れると爆発――」
ここの棚は爆発物しか置いてないのかよ。
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