第87話

「策はこれで良しと…あとは、、、」



その時デスクがバンッと大きな音を立てた。


「良くないんですけどっ!?

あの、私一応女神なんですけど?天界でもちょっと前まではトップだったんですけど!?」



面倒な目で俺はアウルを見た。


「何が不満なんだ?天井のシミ数えてる間に終わるんだぞ。これ以上ないパーフェクトな策だろ、なあレディ?」



「ハイ…最も効率的な策ダト判断しマス。

録画準備完了…」



レディの言葉を聞いたアウルは目を見開いた

「悪化した!!??」


「おお、レディさん録画とは素晴らしい案だ。是非採用しよう」



まだ不満たらたらのアウルへ俺は大きく一つ溜息をついてから告げる。


「はっきり言っておくが、俺はあの3人が無事に戻ってさえくれば他はどうでも良い。

別に天界の統治者が誰だろうとな。むしろ居ない方が良いぐらいだ。

どうする?」


ガックリ項垂れたアウルに魔王が同情して肩に手を置く『頑張れよ』と。


「そんなついでの話はどうだっていいんだ。本題の『天界の三冠』とやらについて話を聞かせてくれ。

まず、どうやって向こうまで行くんだ?」



アウルはもう諦めたようだ。気持ちを切り替えて話し出した。


「それは私が魔法で送り届けます。ただ…」

そこまで話したアウルは下を向いてしまった。


「ただなんだ?」


「先程もお話した通り力の大部分を制限されてしまっていますので送り届けられるのは一人だけです」

下を向いたまま微かな声で話すアウル


もっと大問題があるのかと思った俺は拍子抜けしてしまった。

「そんなことか。俺が行くに決まっている」


今度はデスクを7人の手が叩いた。

副官たちだ。


「司令官!!!

認められません。司令官にもしものことがあったらロストエデンは全ての機能を失って終わりなんですよ!?」

と、ナターシャ


「そうだぜ、ここは俺に任せてくれ!

俺の『乱爆』で消し去ってやるよ」

と、ニック


「ワタシはまだ特殊能力すら使ってないんだけどねぇ?アタシに任せなよ」

と、アマンダ


「天界の三冠!非常に興味をそそられますねぇ…ぜひとも私にかいぼ、いや研究を!!」

と、ジョー


何も言わないがカーミラ・シルバー・アレクセイも同意見のようだ。


だが、俺は首を横に振る。


「まず、ジョーお前は無理だろ。さっきの件がある。

それに、ニックとアマンダの特殊能力は3人まで巻き込んでしまう。3人を助けに行くのに死体で帰ってきては元も子もない。

特にアマンダ。お前のはダメだ。

アマンダの特殊能力については近々使う場を考えてある。

そんなに心配するな、忘れたのか?副官に特殊能力があるように俺にも【司令官スキル】があることに」



「それはそうですが…」

と、未だに納得していないナターシャ


「あの3人は俺がロストエデンに加入させた。そして、俺の身代わりになってしまった。

だからこそ俺が行かなければならない。わかるな?」

これは俺の決意だ。引くわけにはいかない。



その場が一瞬静寂に包まれた。

ナターシャの言った通り俺が死ねばロストエデンは全ての機能を失う。おそらく副官すらも…



その一瞬の静寂を破ったのはアレクセイだった。


「ガハハハ、ワシらの負けじゃな。

なあに、ワシらは昔から司令官についてきたんじゃ。これぐらいの危機はたくさんあった。今さらどうってことないわい」



ナターシャがやれやれと

「言って聞くような方じゃありませんでしたね」



俺はみなを見渡してから言った。

「留守中はナターシャに司令官代理を任せる。この戦い必ず勝つ!!良いな!?」



「「「「「「「はっ!!!」」」」」」」



「では、改めて天界の三冠についてお話致します。

……………………」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


自室で準備を終えた俺のところへ魔王がやってきた。


「もう行くのか?」


「ああ、着いたはいいがもう死んでましたなんてことになりかねないからな。

そうだ、行く前に一つ頼まれてくれるか?」


「領土を取り戻してもらった恩もある。聞いてやらんでもないぞ」


「万が一俺が戻らないときはロストエデンを放棄しろ。そして、あの子たちを頼む」


魔王が神妙な面持ちで頷いた。


「あっ、言っとくが手は出すなよ。

お前ロリだから心配で心配で…普段ならルーミルかマーリーンに頼むとこだが背に腹はかえられないってのはこのことだな。うんうん」


「出すかーッ!!!あんたんはこんな時でも相変わらずやなぁ!!」

魔王はいつも通りの素晴らしい速さでツッコんでくる。


魔王の本当の能力ってツッコミなんじゃないだろうかと最近思う。



そうして、俺は女神アウルのもとへ向かった。

そこには、アウルの他に全ての副官と大勢のアンドロイドたちが整列していた。


「仰々しい見送りだな、ナターシャ」


「いえ!レディに言われてこれでも抑えた方です!」


(どんだけ動員する気だったんだ…)


「後は任せる。

俺が戻るまでに例の件片付けといてくれ」



そして、俺はアウルの前へと歩を進めた。

アウルは神妙な面持ちで問いかけてくる。


「彼らは非常に強力です。生きて戻れる可能性の方が低いでしょう。

覚悟はよろしいでしょうか?」


「ああ、でも死ぬ気はない。

帰ってきて女神の痴態を見なければならないしな。録画楽しみにしてるゾ⭐︎」



次の瞬間アウルは顔を真っ赤にして魔法を発動させた。

最後に聞こえたのは女神アウルの罵声だった。





※ここ1週間ほどずっと考えても答えの出ない問題があります。

【男女のラブホテ◯だとえろえろなのに、なぜラブ◯女子会だと急にオシャレ!インスタ映え!になるのか問題】

何故だ…男女でもオシャレ!インスタ映え!でもいいではないか…

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