第81話〜閑話2〜

そして、キッカリ1週間後


姉妹が城へ来て、注文の品が出来上がったと報告してくれた。

すぐさま姉妹とともにまず姉の店へと向かう。


「これでどうでしょうか?注文と合っていますか?」


心配そうに聞いてくる姉

俺は目を輝かせてその光り輝く服を眺めた。

その服は細部まできちんと作り込まれており非の打ち所がなかった。

元の世界でもこれほど精巧に作れる人は数えるほどしかいないだろう。しかも1週間でだ。



「か、完璧だ!素晴らしい!!

これほどまでに仕上げるとは…裁縫マスターの称号を与えようぞ」


姉はふふふっと誇らしげだった。



だが、ここで安心するわけにはいかない。

続いては妹の店へ



店に入ると同時に中央のテーブルに目当ての品が置かれてあるのが目に入った。

こちらも先ほどの服と同様に光り輝いている。


「ここの前髪の部分が苦労したんですよ〜、注文通りに目と目の間になって更に右になびく形になるようにするのに工夫しました。

こんな感じで大丈夫ですか?」


想像以上の出来上がりに声すら出すことが出来ずにコクコクと頷くしかできない俺



(この姉妹は神か仏か!?)



大満足の俺は姉妹に一つずつ宝石を渡した。


「「こ、こんなすごいモノ受け取れません!!」」とハモる姉妹


「いや、良いんだ。君たちが作ってくれたモノはそれほどの品なんだよ。ぜひ受け取ってほしい」



お気づきの方も多いだろうが、この宝石は元々俺のものではない。まぁ今は俺のものだが…



6日前、注文したのはいいがアーガイアのお金を持っていないことにようやく気づいた。

そこで、例のターゲットに魔王の宝石コレクションを見せてくれと頼むと快く見せてくれた。



そして、

「コレってこんなたくさんあるなら1つや2つ無くなってもわかんないんじゃね?」

と訊ねると

「えぇ、きっと大丈夫ですよ。これとこれなんて貴重で高いので良いのではないでしょうか?」

とのことだったのでその2つをありがたく頂戴したのだ。



よって今は晴れて俺のものということだ。

この2人の反応からするになんかすごい宝石らしいが俺には宝石などとんとわからんので全然問題ない。



その後も少し押し問答をしたが結局は受け取ってくれた。



そして、俺は早速出来上がった品を持ってスキップでアーガイア城へ。

運良くターゲットをすぐに発見することができた。


「フェルトさんっ!!」

俺は興奮しているので自然と声が大きくなっていた。


「司令官、そんなに興奮なさってどうされたのですか?」

少し驚いたフェルトさん


「あ、あのこれっ!着て下さい!!」

そう言って服とウィッグを差し出した。


フェルトさんは困惑気味に

「えぇっと、これは何でしょう?服と髪ですか?」


「はいっ!

ぜひフェルトさんに着てもらいたいんです。お願いしますっ!マジで何でもするんでお願いしますっ!」

頭を下げ必死に懇願した。

そういえばこの世界に来て頭下げたの初かもしれない。


俺のあまりの勢いにだいぶ引き気味のフェルトさんだったが

「ま、まぁ司令官がそこまでおっしゃるのなら…」

と承諾してくれた。

そして、着替えのために別室へ。


(ハイッ、キタコレ!!絶対完璧だと思うんだよなぁ)



そして、しばらくの後ガチャっと扉が開いた。


「あの〜、こんな感じで合ってますか?

ここの髪は後ろですか?前ですか?」


そう言いながら出てきたフェルトさんはもはやアニメの中から飛び出してきた彼女そのものだ。


だが、これを忘れてはならない。

俺は最後の仕上げに持ってきたバッグからヘッドホンを取り出してフェルトさんの首にかけた。



(おぉぉぉぉぉぉ!女神が降臨したっ!)


涙を流しながら拝む俺に先ほど以上に引いているフェルトさん


だが、今の俺は鋼のメンタル1mmも揺らがない。


続けて

「ちょっ、ちょっと『責任 取ってよね』って言ってもらってもいいですか?」


ええっ!?とめっちゃ嫌そうなフェルトさんだったがしばらくすると心を決めてくれたようだ。コホンと咳払いしてから


「責任 取ってよね」


「ウォォォォオォオ!!」

初号◯暴走なみの雄叫びをあげた。


ここまでくるとフェルトさんも楽しくなったのかえいっ!と俺の腕を両手で掴んできた。




その瞬間、俺は重大な欠点に気づきシラフに戻ってしまった。


「あっ、いやもう大丈夫です」


そんな俺の急激な変化にフェルトさんは戸惑いながらも訊ねてきた。


「き、急にどうされたんですか?何かありましたか?」


上目遣いで訊ねるフェルトさん


このときの俺は本当に迂闊だった。

大きく溜息をついた俺は言ってしまった、言ってしまっていた。


「ハァ、、、見た目は完璧だったのになぁ…胸が無いんだよなぁ…」



その途端にピシッという音が聞こえた。いや、マジで聞こえた。

あっと口を押さえたときにはもう何もかもが遅すぎた。


あの時の再来だ。標的が魔王から俺に変わっただけだ。


拳をバキバキッ!と鳴らしながら近づく鬼


「あっ、いやちがっ…」


「誰が喋って良いと言った?」



その後、俺が魔王?と同じになったことはいうまでもない。

フェルトさん最恐説がここに爆誕した。




※書きたかったものが書けたので満足です!

みなさんはもちろん誰のことかわかりましたよね?

コメントでみなさんの推しを教えて下さい!




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