第78話
最初に坑道から見えたのは栗色の髪でゆるいウェーブをかけたTHE聖女の見た目をした女の顔だ。
(まさか癒神か…?じじい本当にやられちまったのか…)
だが、様子がおかしい。
まず、顔の位置があまりにも地面に近すぎる。それに、こころなしか顔が紅潮し、ハァハァと息遣いが荒い気がする…
俺の指示でいつでも蜂の巣にできるようスナイパー、マシンガン部隊が狙いを定めている。カーミラも当然暗器に手をかけていた。
そして、続いての出来事で俺はもちろん、ルーミル、麻奈、カーミラに至るまで驚愕してしまった。
「ほっほっ、はよう進まんか」
の声とともにパシィッと何かを叩く音が聞こえた。
「あっっ♡はいぃぃぃぃ♡もっとぉ♡」
癒神と思われる美女が四つん這いで背中にじじいを乗せて現れたのだ。
「は、はぁぁぁぁぁぁぁ((((;゚Д゚)))))))
なぜにっ!?どうしてそうなった!!!」
聴こえてきたのが足音とは違ったり顔が地面に近すぎたりしたのは四つん這いだったから。
何かを叩く音はじじいが進ませる為に尻を叩いたから。
顔が紅潮して息遣いが荒かったのはこの美女がそれらの行為に興奮していたから。
(何コレ…えっ…どういう展開?あたま追いつか…あっ、俺もう帰って寝ていいかな?)
思考の追いつかない俺たちに構わずじじいが呑気な声で
「ワシいっちばぁ〜ん♪やったネ(^ー^)」とウインクまでする始末。
そうだ…異常な展開に驚きすぎて気づかなかったが、俺はてっきり最初に戻ってくるのはシューベルトかグリックスだと思っていた。
(えっ、なんなのこのじじい…まさか終○のワルキュ○レみたいに戦闘のときだけ筋肉ムッキムキになるとかないよな…?)
「父上!!ご無事でなによりです!ですが、これは一体…?」
ルーミルが我に返ってじじいへと問いかけた。
「ちょっちお仕置きするつもりがやりすぎちゃった(。・ω・。)てへぺろ♥」
(あっぶねぇ…今イラっとして危うく銃口をじじいに向けさせるとこだったわ…)
じじいに話を聞いてみたが要領を得なかった為、仕方なく癒神に話を聞くことにした。
じじいは未だに癒神に乗ったままだ。
そして、癒神の話を要約すると、、、
闘ったが圧倒的な実力差で負けてしまい、お仕置きしていただいた。この方に身も心も捧げる所存でございます、、、と。
俺は話を聞いて放心しているルーミルの肩をポンっと叩き
「良かったな!!弟か妹ができるんじゃないか?」
「嫌ですよッ!!大体、娘より歳下の弟妹なんて聞いたことありませんよっ!父ちゃん…頼むから早まらないでくれよ…」
そして、ふと隣を見ると麻奈がにっこにこで四つん這いになっていた。
「…大体察しがついてしまうことが恐ろしいけど一応聞こうかな?
麻奈、お前何してんの?」
「ぜひ、私もご主人様に乗ってもらいたいですッ!ハァハァっ…
仰向けの方のノルでも全然構いませんがっ?むしろそっちの方お願いします!」
(某ゲームみたいに『野に放つ』ってコマンドあったらいいのに…)
俺の頭痛が酷くなってきた頃
「オイオイ!俺様が一番だと思ってたんだが?」
との声。
「あぁ、グリックス戻ったのか。聞いて驚け!エルフのじいさんが一番……だ?」
と声をかけながら俺は坑道入口へ頭を向けた。
グリックスは闘神だと思われる男の足を掴み引きずっていた。
だが、上半身がない。
「あのオバせ…じゃなかった。グリックスさん?なんで上半身がないんですかね?」
「…お前、今オバ専って言おうとしたろ?」
俺は咄嗟に手を交差させ
「いやいや、何を言ってるんだい?グリックスさん。僕がそんなことを言うはずないじゃないか。まさか、そんなハハハッ」
グリックスは掴んでいた闘神の足を無造作にポイっと放り投げ
「闘神は倒したんだが、真っ二つになっちまってな。仕方なしにコッチを引きずってきたってワケだ」
(いや、普通なんかもっと違うの持って帰らないか…?身につけてる物とかあっただろ…)
そして、俺は天を仰ぎ、ふと考えた。
(ふぅ…何この世界…まともなの俺しかいないんじゃないですかね?)
色々ありすぎたが、あとはシューベルトとマーリーンだけだ。
(もうお腹いっぱいなので早く帰りたい…)
※こんなに日にちがあいたのに待ってくれた方がいて感激です!!
本当にありがとうございます!!
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