第77話

〜〜ムガ坑道入口前〜〜


「ルーミル、本当に大丈夫なのか?」

俺は右隣のエルフに尋ねた。


「えぇ、おそらく。サーニャの歴史の中でも1、2を争うほどの強さですから」

坑道入口を見つめたままルーミルは答える。

ただ、やはり歳が心配なのか緊張の色は隠せない。

そして、ルーミルがこちらを向いた。



「って!!何してるんですかぁぁぁぁ!!」



ルーミルが驚いたのは俺がエルフの長老である【じじいの遺影】を抱えた姿だったからだ。

さらに俺の左隣にはめっちゃ笑顔で【マーリーンの遺影】を抱える麻奈の姿

その後ろには無表情で棺桶を引っ張ってくるカーミラの姿まで。



「えっ、、、も、も、も、もちろん!僕はマーリーンやじじいが無事に戻ってくると信じているぞ!!

しかし、まぁ、葬式は早い方が良いかなと思って……」

冷や汗を流し、あさっての方向を見ながら詰め寄るルーミルに俺は答えた。




〜話は会談の時に遡る〜



「ほっほっほっ、その話がほんとぉならワシが癒神の相手をしちゃおっカナー!」


予期せぬ発言者にマーリーンを除く全員が驚愕の表情を浮かべ、発言者であるエルフのじじいに顔を向けた。

続けて、マーリーンが軽い調子で


「あっ!!それなら私が魔神の相手をしますよぉ〜⭐︎」



(エェェェェ:(;゙゚'ω゚'):いやいやいやいやいや……)


グリックスがやれやれという表情で


「はぁ…なら、闘神は俺様がヤるしかねぇじゃねぇか」


「待て待て待て、剣神しか残っていないではないか!」

と、魔王。


そんな軽い感じでメンバーと相手が決まった、いや、決まってしまったのだ。



「メンバーと相手はそれでいいとして、姿はどうするんだ?会談にはお前とひばりとかいうやつを指名してるんだろ」

とグリックスが腕を組みながら言う。


「それなら大丈夫だと思いますよぉ〜⭐︎」


勝手に話が進んでしまい、置いてけぼりをくった俺だが気を取り直しマーリーンに尋ねた。


「大丈夫とはどういうことだ?」


「ミルキーが【ドッペル】の魔法を使えますぅー。さっすがミルキー!私の親友ミルキー!」

手をひらひらさせてミルキーを褒め称えるマーリーン


当の急に話題の中心となってしまったミルキーは顔を真っ赤にして俯いてしまっている。


(こんなあほと友達になってしまったばかりに可哀想に…)

心底ミルキーには同情する。



【ドッペル】はひばりが使える【コピー】とは違い、他の者を誰かの姿にする魔法だそうだ。

他にも、変えられるのは姿だけ、人型生物限定、効果時間のある点なども違うそうだ。

要は能力だけ見ればコピーの劣化版だ。

だが、今回は他の者を変えられる点が重宝される。



「決まったようじゃのぅ〜」

呑気なじじいの声


「ウシッ!!腕がなるぜ!!」とグリックスが腕をぐるんぐるん回していた。




そんなこんなで現在に至るわけである。



そんな騒ぎの中、坑道の中から足音とは違う何かが聞こえてきた。


(足音じゃないな…なんの音だ?)


全員に目配せをし声を出さず手だけで、すぐさま戦闘に入れるよう指示をする。



数瞬の後、坑道入口から姿を現した者を見てその場にいる全ての者が口をあけて驚愕してしまった。

常に無表情だったカーミラですら目を見開いている。



俺は何も考えられず産まれてから一番の大声で叫んでしまっていた。



「は、はぁぁぁぁぁぁぁ?((((;゚Д゚)))))))

なぜにっ!!!どうしてそうなった!!!」




※だいぶ日があいてしまい申し訳ありません。リアルで少しゴタゴタがあり更新できませんでした。

これから少しずつですが更新していきます。





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