第59話
シルバーを派遣した3日後、俺は自室で今までのことを整理していた。
確かにシルバーは防衛の要だが、ジョー博士やアレクセイでも防衛は可能だからこちらは何とかなるだろう。
そして、指定した場所は魔王いわく魚がほとんど釣れないってことだからすぐに帰ってくることもない。
釣って帰ってくる頃までに『ギルファー』に何も起こらなければ俺の杞憂だということだ。
ん?そういえばこちらはどんな魚が釣れるんだ?魔王に聞くのを忘れたな。個人的な希望だが鯛のような魚だと嬉しい。久しく刺身を食っていない。
まあ食えれば何でもいいか。
そこまで考えたところでコンコンと扉がノックされた。
「開いてるよ」
俺は扉に向かって声をかけた。
「失礼します」と声をかけて入ってきたのはジェシーだ。
「おっ、ジェシーか。どうだ、ロストエデンには慣れたか?メイ達とは上手くやれてるか?」
ジェシーは笑顔で
「はいっ!皆様本当に優しくしてくださってます。たくさんの異種族のお友達ができて毎日が楽しいです」
(そうかそうか。うむうむ。調子良いじゃないか)
「おっと、すまない。俺に何か用事だったんじゃないか?」
「はい、実は…そろそろ一度海に浸かりたくて…そんなに長い時間じゃなくて構いません。私はマーメイドなのでずっと陸にいると少し無理が出てくるのです」
(ああ、失念していたな…ジェシーには可哀想なことをした)
「もちろんだ。護衛をつけるから好きなだけ海に入ってくるといい。
なんなら、一度アトランティスに帰っても…」
その時、ビービービー…という音が室内に響いた。
「この音は…?」
俺はジェシーを安心させるべく音のする方へ向かいながら
「ああ、大丈夫。敵襲じゃないよ。コレだ」
俺が持ち上げたのは立体映像だ。
(シルバーか…魚が釣れたにしては早すぎるな。ギルファーで何かあったか?)
俺はボタンを押し立体映像を起動させた。
「シルバーか。どうした?何かあったか」
すると困り果てているシルバーの映像が映し出された。
「あっ、だんな。その…釣れることは釣れたんですが……」
(バカな!!もう釣れただと!?早すぎるぞ…釣りマジシャンと名付け…)
そんなことを考え、立体映像を見ているとシルバーの後ろに何か見覚えのあるモノが飛び跳ねている。
俺は見間違えじゃないかと目をゴシゴシ擦ってもう一度見た。やはり飛び跳ねている…
「だんなと話をさせろってうるさくて…で、お知り合いですかい?」
俺は頭を押さえて
「ああ、もう全てわかった…完璧に理解した…確かに知り合いだ。
悪いんだが、後ろのやつと代わってくれ」
シルバーが下がり、ソイツがアップで映し出された。
「やっほー、司令官お久しぶりです♪
あなたのマーリーンですよ☆」
両手を顔の前で振ってから投げキッスをしてくるマーリーン
「お姉様!?
どうしてお姉様が映っているのですか?」
横からジェシーが入ってきた。
「それはな、ジェシー。
シルバーが釣った魚ってのがお前の姉だからだ。
ジェシー、今アイツがアトランティスの全権を握っているんだぞ?とっても危険だと理解してもらえたな?」
無言でコクコクうなずくジェシー
「で、お前はなんでまた釣られたんだ?」
それなんです!と言いながら更に顔を近づけるマーリーン
「最近、アーガイアと友好国となったのをキッカケに交易が盛んになっていまして…」
俺は手を振りながら
「そこは知ってるから省いていい。なぜ釣られたのかを簡潔に説明してくれ」
マーリーンは腕を組んだ。
「そこにはふかーいワケがありまして…」
ジェシーが「お姉様、その深いワケとは?」と真剣に聞いている。
(こりゃ絶対ロクな事情じゃないな…真剣に聞いているジェシーが可哀想だ…)
「交易の様子を見に来てたら美味しそうなモノが流れてきたのでパクッとやっちゃったんです!」
「……シルバー、今すぐソイツを三枚におろせ。アトランティスの後継は俺が今から探す」
「未来のお嫁さんなのにひどいッ!
でも、そこも素敵です!あ・な・た♡」
誰か俺にロキ◯ニンをくれ…バファ◯ンじゃ無理だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます