第24話

突如現れたクラスメイトの俺が何かを引きずっていることに気づいた2人。


その何かを見た途端、橘と木嶋は「ヒッ…」と悲鳴をあげた。

それは人の形をした何かだった。顔は焼けただれて判別不能。どう見ても死んでいる。


次の瞬間、2人はさらに恐怖した。


人の形をしたモノが声を発したのだ。

「…ぅぅうぅぅ……だ…す…げ…で……」

まるで地獄で責め苦を受ける罪人のような声。喉が焼けているようだ。



2人は恐怖で動けなかったが、ほとんど同時に同じ考えに至った。

でも、まさか…いや、そんなはずはない。と心に言い聞かせ、橘がクラスメイトである俺に質問した。


「それは…誰?三鍵。」


俺は質問されたというのに全く答えない。

逆に魔王が、先ほどの俺の質問に答える。


「あぁ、戦闘は久しぶりだからな。少し遊んでやっただけだ。それに…こいつらの処遇はお前が決めた方が良いだろう?」


ガン無視された橘は


「これは誰だって聞いてんだよッ!!答えろよッ!!」


「うるさいなぁ。そんな大声出さなくても聞こえてるよ。」

俺は首をすくめて答えた。続けて


「はぁ…仕方ない。

コレか?当ててみてくれ。ヒントは『炎が大好き』だ。」


木嶋はゴクッと息をのんでから


「森保……」


「木嶋さん、大正解!でも、いつもの軽さはどこへ行ったんだい?さっきまで相変わらずの軽さでサーニャを滅ぼそうとしてたじゃないか。」


そのとき、森保だったモノは動かなくなり声も出さなくなった。


「ちっ…薬の効果が切れたか。俺の復讐とエルフの恨みでもう少し苦しんで欲しかったんだが…仕方ないか。」



今回ジョー博士に用意してもらったモノは一時的に『不老不死』になる薬だ。

確かに死なない。だが、痛みは蓄積される。

そして、効果が切れればもちろん死ぬ。



橘が震える声で聞く。だが、先程の勢いはない。


「佐藤と堂島は…どうなったの?」


「あぁ、佐藤はカーミラが拷問してるけどこっちの薬が切れたからそろそろ向こうも死んでるんじゃないか?カーミラの拷問はヤバいからな。死ねて良かったかもしれないぞ。

堂島は一応生きているが、ジョー行きだから、ロクなことにはならないな。」



本来なら堂島も復讐の対象だったはずなのだ。

だが、直前でジョーからどうしてもサンプルが一つ欲しいと頼まれたのだ。



俺は笑顔で3人に言い放つ。

「さて、君たちの番だ…ね。」


その言葉を聞いた途端、橘と木嶋は俺の足もとへ駆け寄り「お願い。助けて…助けて下さい…」と懇願した。


「な、何でもッ!何でもするからぁ…」と橘。

「ほんと何でもするッ!だから助けて…」と木嶋。


俺は大袈裟にため息をついて

「はぁ…仕方ない。

けれど、全員助けてしまうと彼ら3人に申し訳ないからね。3人の内1人は死んでもらう。その代わり助かった2人には女にしかできないコトをしてもらう。

。どうだい?」


これでもか!というくらい木嶋と橘はコクコクと首を振っていた。死ぬより俺とのSEXを選んだわけだ。



「さて、じゃあ誰にするか…」

と俺が言ったとき2人は三木島の方を向き怒鳴った。


「麻奈ぁ!アンタでいいよね!?アタシら友達だよねぇ??」と木嶋。


「アンタ今回の戦闘でも回復しかしてないよねぇ!?ほんと使えない!せめてココで活躍しろよ!!」と橘。


三木島はふるふると首を振る。さすがの三木島でも抵抗するんだなと俺は思った。



俺は2人を睨み、「無理強いは良くないぞ。そのつもりなら2人を殺す…」


2人はこちらを向き愛想笑いを浮かべて


「や、やだなぁ。無理強いじゃないって。ほんとほんと。」

「アタシら友達だもん。そんなことするわけないよ〜。えへへ。」



俺はナターシャに連絡を取り、さっき作ったばかりのモノを持ってきてもらうことにした。


ナターシャが持ってきたのは立方体の箱だ。その中には赤、白、青3種類の球が入っている。


その球をナターシャから受け取ってから俺は3人を見て「好きな色を選べ。俺が引いた色の者を殺す。これなら公平だろ?」


橘と木嶋は少し悩んでから、それぞれ橘が赤を木嶋が白を選んだ。


「ってことは三木島は青だな。これでいいな?」


3人は神妙な顔で頷く。確率的には3分の1。

俺は球をナターシャに渡した。

ナターシャが箱をかき混ぜ、俺の前に差し出す。


手を突っこみ「どれにしようかな?」と勿体ぶってみる。

3人の顔は全く余裕がない。それはそうか。これで選ばれれば死。余裕などあるはずもない。



やがて、俺は1つの球を取り出した。

それは『青』だった。

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