第23話

無数の弾丸によって一瞬でノーザイア兵のほとんどが正確に頭を撃ち抜かれて即死した。


佐藤、森保、堂島、橘はほとんど同時に我に返った。


「い、い、い、今のって…銃だよな…?なんでこの世界に銃なんてあるんだよッ!?銃なんて無いはずだろ!!」


ほとんど悲鳴に近い森保の叫び声。


「俺にわかるわけないだろ!お前が参加するなんて言わなければ!!と、とにかく逃げ…」


佐藤がそこまで言ったとき、佐藤、堂島、森保の両足を弾丸が正確に撃ち抜いた。


「ぎゃあああああ!!お、お、俺の足、足、足がぁぁぁぁ!!橘ぁぁ!何してるッ、エアシールドを張れぇぇッ!!」


森保が悲鳴をあげながら叫ぶ。


「やってるってばっ!!なんで!どうして…こんなことに…」



Lv17スナイパーの銃撃を風なんかで止められるはずがない。

GZ-999MXというライフルを装備し、マシンガン同様弾薬、リロード必要無し。

有効射程距離は2.75km

この距離であれば走っている馬でも一撃で正確に頭を射抜くことができる。

そして、スナイパー部隊の最大の特徴は全部隊中最も攻撃力が高いことだ。



佐藤はもはや自分だけでも助かろうと

「三木島ぁ!グレーターヒールを俺にかけてくれ!!先に俺だけでいいからッ!」


それを聞いた堂島も慌てて叫ぶ。

「クソッ!俺だ。俺からかけてくれッ!」



そんな中まだ無事な女子3人の前に一人の男が舞い降りる。

それを呆然と見守る3人。


降り立ったその男はニヤッと笑う。

「俺はアーガイア国王シューベルト・シュナイデン。魔族の王だ。異世界者の力見せてもらおう。」


「魔王!?うそっ!」

橘は混乱していたが、同時に目の前の者を倒さない限り生き残る可能性がないことも理解していた。

それは木嶋と三木島も同様だ。

3人は同時に魔王へ攻撃をしかける。



橘が『エアスラッシュ』を発動。

風の刃は魔王の体を真っ二つにする……はずだった。

だが、その前に魔法障壁に阻まれ呆気なく消えた。


「ふむ、異世界者というだけあってなかなか…だが、まだまだ青い。」


それならばと、木嶋が『キャンセル』を発動。その途端魔王の魔法障壁が解除された。

それを狙い、橘が再び『エアスラッシュ』を発動。

今度こそ殺った!と思ったが、魔王はこれを難なく回避した。


「これがエルフ自慢の多重結界魔法を解除したという魔法か。確かに厄介だが、お前たち程度の攻撃しかないなら問題無さそうだな。」


「次はこちらからゆくぞっ!」


魔王が雷剣に匹敵する速度で橘の前に迫り蹴りを放つ。

橘は吹き飛ばされ地に転がった。


「ゲホっ…ガハッ…うぅぅぅい…たい。」


その様子を呆然と見つめる三木島だったが、数秒後慌ててグレーターヒールを発動。

すると、橘は何事も無かったかのように起き上がり、三木島に叫ぶ。


「アンタッ!!アタシを殺す気!?助けるのが遅いッ!」


三木島は「ご、ごめんなさい…」と小さな声で謝った。


魔王はふむと呟いてから不敵に笑う。


「もう少し遊んでやろう。かかってこい。」



その後、橘の攻撃はかすりもせず、また魔王からは攻撃を仕掛けない為本当に遊ばれてしまっていた。




そして、橘と木嶋が疲れ切った頃


「何を遊んでいる?まだ終わってなかったのか?」


魔王の背後から姿を現したのは、異世界に飛ばされた後誰もどこに行ったか知らず、更に誰も気にしなかったように見えたクラスメイトでカースト底辺の三鍵だった。

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