殺戮王女に気が付かない

仲仁へび(旧:離久)

第1話



 可哀そうな王女様、殺戮好きの王女様。


 狂ってしまったお嬢様は、仮面を張り付けて今日もニコニコ。


 笑顔を振りまいて、笑顔を作る。


 でも、笑顔の下で、笑顔を壊して。


 ごんごんごん。


 がんがんがん。


 壊して、コワシテ、コわシてく。


 お城の人達はまったく、何も、気が付かない。


 今日も明日も、ニコニコニコニコ。


 王女様へと、ニコニコニコニコ。


 かなづち、はんまー、のこぎり、ないふ。


 ドレスの下に隠しても。


 ぜんぜんだぁれも気が付かない。


「ねぇ、王女様。おててが真っ赤よ。どうしたの?」


 がん。


「ねぇ、王女様。ドレスが真っ赤よ。大丈夫?」


 ごん。


「ねぇ、王女様。指先が赤いわ、おてんばさん。今日のおやつはいちごかしら?」


 がんごん。


 がんごん。


 お城の中が空っぽに。


 一人残らずいなくなるまで。


 ぜんぜんだぁれも気が付かない。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

殺戮王女に気が付かない 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ