第27話 ミノリの決意 魂楽独奏

 真一たち四人はそれぞれ単独で悪鬼と対峙した。


 真一は防御とカウンターで、

 雅輝は狙撃で、

 大智は高速の突進で、

 それぞれ悪鬼を撃破していた。

 


 もちろん、全員無傷とはいかなかった。仲間との連携が前提での悪鬼討伐を単独で行うのはとても過酷で、一つのミスが死に直結する。すでに作戦開始から1時間以上が経過し、常に気を張っていた全員の集中力と体力はすでに限界に近かった。

 分裂した悪鬼は全部で何体いるのか、倒してもまた分裂復活することはあるのかなど、不安は絶えない。しかし、今ここで倒しておかなければ、悪鬼は更に進化して手に負えなくなるだろう。何としても倒す、倒さなければ。そういった気持ちは徐々に不安を駆り立て、焦りを生む。


 その焦りを一番に感じていたのは、意外にもミノリであった。ミノリは普段は作戦の要であるが、今回は特に何かを成したわけではない。むしろ、自分を中心に作戦を立ててしまったがために仲間に苦戦を強いていると感じてしまっているのだ。もちろん、そんなことを感じている素振りは出さなかった。至って気丈に振る舞い、味方を鼓舞した。しかし、真一たち3人には気づかれることはないだろうが、もしかしたら姉の御月には自分の気持ちを勘づかれたかもしれない。姉に勘づかれるのはまずい、それだけはあってはならない。

 御月は、ミノリに危険が迫っているなら自分のことなど省みず、命をかけて助けようとするだろう。ミノリは少しでも姉を危険に晒すようなことはしたくないのだ。大切な姉だから、大好きな姉だから、長く生きて欲しいし、ずっと一緒に戦って欲しかった。だからミノリは自分の能力を磨いて来たのだ。ミノリの能力は仲間の能力を強化すること。これは、より少ない力で大きな力を生むことのできる能力でもある。それを極めていけば、御月は命を削らずとも今のような強大な力を扱うことができるようになると、ミノリは考えたのだ。

 

全ては姉のため、姉が愛したSOLAのため、そのために自分が頑張ると決めたのだ。だから、こんなところで姉を戦わせるわけにはいかない。姉と一緒に戦うのは、自分が能力を極めたその時だけなのだから。

 決意を胸に、ミノリは悪鬼と対峙した。


「一人で戦うのは苦手だけど、行くよ!魂楽独奏こんがくどくそうはつ】!」

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