第17話 超越者
目を覚ますと、真一は見知らぬ広い部屋の中にいた。
いや、部屋と呼ぶには、そこはあまりに広過ぎた。
その部屋は純白の大きなタイルが敷き詰められ、高い天井を支える柱には見事な装飾が施され、まるで古代の神殿のようにも感じられた。真一はしばらく呆然と周りを見回していたが、やがて自分がここへ来る直前の記憶を思い出した。
勝利の女神を名乗る謎の女性に勝負を挑み、そのままなす術も無く一瞬で負けてしまったのだ。
そのとき受けた攻撃はかなり強力なものであったはずだ。SOLAの医療班をもってしても、完治までにおそらく何週間もかかると思われる重症を負っていたと記憶している。しかし、今の真一は傷一つない。それどころか、むしろ戦いを始める以前よりも体調がいいように感じられる。
これはどういうことだろうか。ひょっとしたら自分はあの一撃で死んでしまって、ここは天国か何かなのかとも考えた、その時。
「安心しろ、お前は生きてるよ」
後ろの方から急に声がした。驚いて振り返ると、そこにはあの自称勝利の女神が立っていた。しかし、服装が以前とは違った。彼女は派手な色の見たこともない形の服を着ていた。
「普通は即死するレベルの攻撃を受けても、ここに来れば一瞬で回復できる」
そう言う彼女の姿、この神殿、そして実際に回復した自分の体、それら全てから真一は、自分はとんでもない相手にケンカを売ってしまったと言うことを思い知らされた。
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