番外編④ 奔走者?

「間に合ったみたいだね」

ノビーはレーナに語りかける。

「ギリギリだったがな」

レーナの表情には微かに疲労の色が見えた。

「本当にびっくりしたんだよ。あの悪鬼に翼が生えた途端にレーナったら、瞬間移動して御月さんに知らせに行ったんだもん!」

「真一たちだけじゃ手に負えないと思ったからな」

「そんなこと言ってぇ、いつものレーナなら『私たちの力を見せてやる!』とか言って戦いに乱入するくせに」

ニヤニヤするノビーを尻目に、レーナはカッカと豪快に笑う。

「確かに言いそうだな!」

でも、と繋げてこう付け足した。

「でも、せっかく真一が見つけた強敵だ。私が倒しちゃあいつの恋路を邪魔することになっちまう」

「おぉ!レーナもそんなこと考えるようになったんだ!」

「あんな空回りした情熱を見せられちゃ、応援したくもなるさ」

笑顔でそう答えたレーナであったが、その次の瞬間には真剣な表情になり、こう付け足した。

「だが、実際あの悪鬼をあいつらだけの力で倒すのは、かなり厳しいな・・・」

真一たちの戦いに欠点はなかった。それぞれが持てる最大限に力を発揮しており、コンビネーションも上手く行っていた。それでも負けたのだ。進化した後の敵の情報がなかったとはいえ、付け焼き刃の対策を立てただけでは、再び挑んでも返り討ちに遭う可能性が高い。レーナはしばらく、真一たちが悪鬼を倒すためにはどうしたらいいか真剣に考えた。そして、ある結論に至った。

「あーあ、仕方ねぇ。今回は外野を決め込むつもりだったが、そろそろ本気で助太刀すっか」

嫌々やるかのように言っているが、レーナのその表情は、これから始めようとすることへの期待で少年のような企みを含んだ笑みを浮かべていた。

「さぁ、そうと決まれば早速準備だ!行くぞノビー!」

「うん!」

そう言うと二人はスッと姿を消し、どこかへ瞬間移動して行った。

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