第4話 『転送』


───プルルルルル...


「私だ、あー...試合中は電話を掛けるなと言っ...何?試合が中止?レジェンドから?はぁ...分かった今そっちに行く」


──ガチャ...


「全く丁度昼食にしようかと思ったらこれだ...」


朝方、アリーナからの通達でローバ、ヴァルキリー、レヴナント、パスファインダーの消息が分からないと聞いた。あいつら手掛かりか何か見つけたか?


「この仕事も楽じゃないな...あ〜体が軋む...」


かつての俺が夢みたいだ、いつのまにこんな年を取った?



全く...若いのが羨ましい...



...

場所:研究所側 中央フェーズランナーにて...


「さて、皆に集まって貰ったけど...」


私とパケットの部隊しか居ない...他は連絡を取ったけど返事ナシ。


「レネイ、そろそろ教えてくれても良いんじゃないか?俺達全員まだどういう事か分からないんだ...」


「えぇクリプト分かってる、さて皆?今から話すのは私の憶測でしかないけれど殆ど確定の様なもの...」


皆が息を飲む...


「今朝ローバ達が居なくなったのを知った私たちは全員でこのマップ内を隅々まで探した、何か痕跡が残っていると踏んで...でも」


───何も見つからなかった、索敵に特化したレジェンドをもってしても


「ねぇレネイ...それとこれとフェーズランナーになんの関係があるの?全く繋がりがあるとは思えないけれど...」


「もし...何処か遠くの場所へ彼女達が意図せず行ってしまったとしたら?それもあの死神ならまだしも逃げの手を持っている2人が」


ローバのジャンプドライブ、ヴァルキリーのジェットパック...そこら辺に出回っている道具ガラクタよりも性能が桁違いな物...


「それらを持ってしても何か不可抗力に遭ったとしたら?」


「それって...フェーズランナーの暴走だってのかい?私の時代でもエラーを吐くことはあったけどね...それでも暴走までは起こらなかったよ」


「ヒントはラムヤ達よ、私達は彼女の部隊を追ってきたの」

「ちょっと...あの時フェーズランナーから出てきたのはレネイ達だけだったわ...」


先に入ったラムヤ、エリオット、アニータの消失...これが偶然とは思えない...


「それじゃあ連絡が取れない他の皆は...」

「既にこれフェーズランナーを使って居なくなってしまったと考えるのが妥当ね...」

「待ってくれ、それなら何故フェーズランナーを通った君達はここに居るんだ?」


皆が感じている違和感、それは同じ様にフェーズランナーを通った私達の部隊がまだいる事...


「それについては...私の能力が関係していると思うわ、同じフェーズ技術同士ですもの...」


成る程...と皆が納得する


「さて長々と話し込んでしまったわね...早速だけどフェーズランナーの操作板から何か見つけられないかしら、ソマーズ博士?」


「確かにわたしの権限なら色々弄る事くらいは...さぁどれどれ...」


扱いの難しい操作板を慣れた手付きで動かす、流石は当時の危機に立ち向かった人物といったところか...


「貴方達は少し休んでて、多分少し掛かるわよ」



...数分後


「...何か空に浮いてるぞ?ありゃなんだ?」

「ガントレットの時のドローンみたいだな‼︎いつも動画作る時世話になってるぜ‼︎」

「シンジケートの役員の到着が遅れるからすぐに配備可能なドローンを送ったそうだ、一応は彼らと繋がってる筈...気に入らん...」

「「??」」



「これは...凄いね?あんたの言ってた事は間違ってなかったみたいだよ...レジェンド達の移動記録が明確に残ってる、ローバ達の物もさ?」


「こう上手く行くと気分が良いわね、それで?」


「あぁ...どうやら転送先が厄介な事になってるみたいだ、これに関しては...私でも手の付けようがないねぇ...」

「それってどういう...」


ワットソンがホライゾンに質問をしかけたその時だった、


───眩い光が...


「!?」

「眩し...一体何」


───パァァァァァ...‼︎


同時に2人が飲み込まれる...


「ナタリー!?一体これはどうし」

「おいヤベェぞ‼︎緊急脱出す...」


「みんな!?マズイ私の方にも...」


走っても間に合わない...なら虚空で逃げるまで。


「さよなら」シュンッ...


咄嗟に虚空を使い逃げるレネイ

(危なかったわ...残ったのは私だけかしら...?)


しかし...


───パァァァァァ...‼︎


(なっ!?嘘でしょっ...)


虚空状態の彼女を正確に捉え、彼女を光が飲み込む...


───パァァァァァ...




静かになった戦場...その場に残っていたのは空高くでレジェンド達を見守っていたドローンだけだった...



...

そして現在。


「...存在しない場所...?どういう事だ?」


「あらゆる星のデータと照合しましたが...この転送先と合致する場所はありませんでした」


はぁ...前々から思っていたがアイツらはいつも面倒ごとに巻き込まれる...レジェンドある所にトラブルありとは思うが流石に今回は只事じゃない。


「分かった、他に何かあったら教えてくれ。すぐにでも駆けつける」


「了解しました」


流石にあいつらも弱くはない...死んでいたりはしないだろうが...




「アウトランズ中の奴等がお前らの帰りを祈ってるんだ...」


くれぐれも無事で居てくれ...



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