第23話 学園都市 ワイズアビス⑩
「ふぅ。何とかなったか……。」
厳しい戦いを終え、アレンさんが安堵の声を漏らします。
やはり、この試練の趣旨に沿った形で、精霊魔術であればある程度容易くクリア出来るが他では、という造りだったようです。
アレンさんも多少は精霊魔術をお使いになられますが、有効な攻撃手段とはなっていなかったようですので、レンさんがやる気になって下さらなかった場合は勝機が得られなかった可能性が高そうです。
「ふっ、ふん!役に立たない奴らめ!この俺の助力が無かったどうなっていたことか!
こんなんじゃ報酬は――。」
「はあ?あんた何言ってんの?
あんたはリリシアの指示に従っただけでしょ?あんた一人じゃお話にならなかったのは変わんないわよ?
それに、何度も言うようだけど、私たちの仕事は道案内であって、あんたの護衛じゃないからね?その道案内だって、アレンとリリシアあっての事でしょう?」
レンさんがさりげなく報酬の減額(或は0化?)を試みようとしましたが、またまたミレニアさんに撃沈されて黙ります。そろそろ、癖になって来たのではないでしょうか?
万が一、お二人がお付き合いされることとなったあかつきには、レンさんが尻に敷かれる事間違いなしでしょう。
と思いつつも、ミレニアさんグッジョブ、です。私的にも、ただ働きはいただけません。ただの記録係なので、大したことはしておりませんが。
「リリシア、あんた大丈夫だった?怪我は無い?変な事されなかったわよね?
男は皆ケダモノだからね。まあ、こんなのに遅れをとることも無いとは思うけど。
それと、ありがとう。助かったわ。正直、あんたの助力無しだと厳しかったかも。」
「いえ。私はレンさんに助言をしただけですので。頑張られたのは、レンさん自身かと。
それと、レンさんはヘタレな方だと思いますので……。」
心配して頂けたようで、申し訳ないですね。
何を、とは言いませんが。実体験からなのか、ケダモノ、というところには大分力が入っておりました。汚物は消毒!みたいな。
因みに、ミレニアさんがなさっていたのは給仕までで、その後の仕事まではなさらなかったそうです。
私もその辺りは実体験が無いのでよく分からないですが、紳士そうに見えるアレンさんやクレイさんも、夜になると我を忘れたりなさるのでしょうかね?がくがく。ぶるぶる。
「そうだな。何も無かったなら何よりだ。
とりあえず、さっさと依頼を済ませと戻るとしようか?流石にへとへとだよ。」
クレイさんはそう言いながらも、私とレンさんの間に割り込んでこられました。
そして、レンさんに若干睨みをきかせいらっしゃるようにも見受けられます。はて。何かレンさんに言いたい事でもあるのでしょうか?激戦を経て築かれる男同士の友情、そしてそれは愛へと変わる、とか?腐腐腐。
こうして無事精霊石を回収し回廊から脱出した私たちは、その後は大過なく無事街へと帰り着くことが出来ました。
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