第19話 学園都市 ワイズアビス⑥
「一体どこまで続いているのだ?もう、結構進んだと思うんだがな……。」
更に数時間程進んだところで、クレイさんがそう漏らされます。
確かに、この洞窟に入ってから、もうかれこれ20数キロと進んでいる感じがしますので、試練用の洞窟としては結構深く造られているように思います。
「……ん、そうだな。もう大分気配も濃くなっているし、そろそろだと思うんだが。」
「おいおい。しっかりして貰わんと困るんだがな?こっちだって高い金をはら――。」
「あんたはいいから黙ってなさい!
で、アレン。後どれ位なの?まだ、野営が必要な位残っているの?」
アレンさんに文句を言おうとしたレンさんでしたが、ミレニアさんに途中で遮られてしまい、口をぱくぱくと動かしながら、何か悟ったような顔でうしろへ下がります。
ミレニアさんには下手に口答えしない方がよいと悟られたのかもしれません。やっぱり、可哀相な感じがしなくもないですね。
「いや。もう1、2時間もあれば着くと思うのだが……。」
アレンさんがそう仰りながら、通路の先へと進まれます。すると、そこは今までとは感じの違う広場となっていました。
「何か結構痛んでいる感じだな?気を付けて進んだ方がよさそうだ。」
よく見ると、地面のところどころにヒビが入っていたり、穴が開いていたりします。
安普請、という奴でしょうか?補修をしてない、というだけなのでちょっと違うかもしれませんが。建物でも無いですし。
そして、前方に視線を移すと、金属質な光沢を宿したゴーレムが一体待ち構えておりました。
既に戦闘準備万端、といった感じでファイティングポーズをとっており、今にも襲い掛かってきそうな状態です。お巡りさん!こいつです!こいつがやりました!
「やるしかない、か!行くぞ二人とも!」
そう言ったアレンさんに続きクレイさん、ミレニアさんが前へと躍り出た瞬間――。
「なっ!跳んだ!?」
ゴーレムは地面を揺るがしながら大きく跳躍し、前に出た三人と、レンさん・私との間のところへ降りてくると同時に、頭上高く組んだ両拳を振り下ろしてきました。
そして、拳が地上に触れた瞬間、痛んでいた地面は衝撃に耐え切れず――。
「くっ!」
崩落する地面に飲まれて、あえなくレンさんと私は闇の底へと沈んでいくこととなりました……。
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