第2話 学校の日常。

「……ふぁぁぁ」


 今日は月曜日。学校へ普通に登校して、今は普通の昼休み中。


 売店で昼飯のパンとコーヒー牛乳を買った。毎日のルーティーンとなっている。


 食べ終えると眠気が襲ってくる。あくびも出るというものだ。


「なんだよ。昨日シコりすぎたのか? ったく、何回シコったんだよ」

「ちげーよ。馬鹿が」

「ちなみに俺は——」

「聞いてねぇよ。アホか」


 ただのあくびに下品な下ネタをぶっ込んできたのは、いつも一緒に昼飯を食べている友達の下根しもね太陽たいよう


 太陽は、ごくごく普通の家庭に生まれたエロ大好きの健全な男子。


 家族構成は父母妹とコイツの四人家族。妹はこの学校の一年生だ。


「最近思うんだけどさ……」

「何? なんだよ急に」


 太陽が一点を見つめ真剣な顔をしている。コイツの真面目な顔は珍しい。


「近藤ってさ、おっぱいデカくなったよなぁ。学校トップスリーに入るよな」


 視線の先を見ると友達と談笑している静香がいた。


「おまえ……なんでソレを声に出して言えるんだ?」

「ムッツリじゃないからだな」


 ドヤ顔をする太陽。笑顔が眩しい。恥ずかしさを微塵も感じさせない。


 太陽……おまえすげーよ。ここは教室で周りに女子もいるのに……ほら、あの子とかあの子とか、おまえを嫌悪感丸出しで見ているぞ。


「女の子の成長ってすげーよな。ここ半年前くらいか? 急激におっきくなったよな」


 さらに静香のおっぱいに言及する太陽。コイツは女子の視線に気づいているはずなのに……まぁ、うん、確かに。


 静香は太陽の言うように半年前までは他の子より少し大きいかな? という程度だった。


「もともと可愛かったけど、さらに可愛くなってる気がする。それになんとなく色気も出てきてないか?」


 可愛いとか色気とかサラリと言える太陽はある意味尊敬する。俺は絶対言えない。


「はぁ。おまえが羨ましいよ」

「は? 俺が羨ましい? どうして?」


 ため息混じりで俺に意味の分からない事を言う太陽。


「だってさぁ。近藤と幼馴染だろ? いずれはあの乳を揉み放題だろ? 羨ましいしかない」

「ちょっとまて。幼馴染だからって将来揉み放題になるとは限らないだろうが」


 ……あっ、し、しまった。またコイツのペースに巻き込まれた! 嫌悪感丸出しで近くの女子が俺の事見てるぅぅぅ。


 ……まぁ、今日に始まった事じゃないから別にいいけど。


 静香は同じ教室にいても距離は遠い。俺達の声は他の生徒達の雑音にかき消され届いていない。友達と変わらず談笑中だ。


「怒んなって」

「……怒ってねーし」

「まぁでも、うん。おまえの言うことも一理あるな。幼馴染のアドバンテージはあってもどうなるか分からないよな。近藤はモテるし。俺の知っている限りでは五人はいるな。近藤を好きな奴」

「太陽、ソレはマジか。マジなのか!」


 静香をチラリと見る。あの容姿ならモテるのは当たり前か……なんか複雑な気分。


「最近仕入れた情報だけど、その中でもヤバい奴がいる」

「ヤバい奴? ヤンキー? 不良?」


 ヤンキーに狙われたら静香が危ない。って、こ学校にヤンキーとか不良とかそんな奴いたっけ?


 俺の問いに太陽は頭を左右に振る。


「いや、そっちのヤバいじゃない。逆だ」

「逆?」


 太陽はコクコクと頷いた。


「そう。ヤバい奴、それは……三年生の生徒会長、池面いけめん善人よしひとさんだ」

「は? え? 生徒会長? う、嘘だろ⁉︎」

「マジだ。幼馴染の告白を『近藤が好きだから』と言って断ったらしい」


 あの超絶美人を振った⁉︎ マジか! 信じられん。

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