第11話では。(ジル視点)
みんなはこの国の王家の事をどう思っているだろうか?
たぶんあまり良い印象はないと思う。もちろんオレもない。どちらかと言うとマイナスだな。なにせ国王陛下がとてもじゃないが頼りにならない人で、歴代の王の中でも特に最悪だと言われる程だからだ。
オレから見てもどちらかと言うと小国で自閉的な国だとわかるくらいだ。まぁ、それも全て国王のせいなのだが、とにかくそのせいでとても弱い国だと言える。
なんと言うか……国王陛下はとんでもなくビビりでヘタレなんだ。血統を何よりも大切にする国の掟がなければ絶対に国王になんかなれていない程の器の小ささなんだよな。
だからこそ、唯一親交のある隣国の王子がしたあの断罪劇でのむちゃくちゃな条件も受け入れたのだろう。ちゃんと隣国の王族と冷静に話し合えば良いのに、王子の言い分をふたつ返事で飲み込み自国の公爵家を押さえつける暴挙すらも、自分の保身の為ならなんとも思っていないのだとよくわかる。
今の国王が王位を継承する時になぜ誰も反対しなかったのか……。まぁ、他に正しい血統の人間がいなかったからだろうが。国王の周りにも血統を守る事しか考えない頭の堅い奴等しかいなかったのも災いしたな。
さて、そんなどうしようもない国王だが、実はひとり娘の王女がいる。確か王妃は王女を産んだ後にすぐ亡くなったので唯一の血統を継ぐ人間のはずだ。
……が、これまた酷い。
今年で13歳になったはずの王女は亡くなった王妃に見た目はそっくりでとても美しいようだが、中身はそれはそれは甘やかされて育った賜物みたいな感じの少女だ。今時縦ロールってのもどうかと思うがね。
もちろん隣国の王子の婚約者候補にも最初に名が上がったようだが、王女が難色を示したので前の公爵令嬢に押し付けたのではとも言われている。噂でしかないが、あながち間違ってはいないだろう。
まぁ、ロティーナは自分はしがない伯爵令嬢だから王女と関わる事はまずありえない……と、今日までは思っているだろうな。だが、それも今日までだ。
巻き込んで申し訳ないけど、ロティーナにしか出来ない役目なんだから……頑張ってくれよな?
***
そして今日、思惑通りに事は進み始めた。
ロティーナにバレないようにはぐらかしながら下準備をしていたが上手く網に引っ掛かってくれたようだ。
それじゃあ、調理開始といこうか。
「さぁ、ロティーナ!俺に婚約破棄されたくなかったら慰謝料を払って泣いて謝れ!!今ならまだ許してやるぞ!」
では、ロティーナ。まずは前菜から召し上がれ。
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