水の広がり

バブみ道日丿宮組

お題:僕の水たまり 制限時間:15分

水の広がり

 病気の広がりというのはわかりやすいものだ。

 自分がある被験者になってるのもあり、水たまり1つ1つに数滴の血を混ぜるだけで、虫や動物、人間がそれに触れる。

 そしたら痒みからはじまり神経毒となり、いずれ心臓を破裂させる。そうやって病気は簡単に広がる。変死として最近ニュースに上がってるが、原因不明とされてる。

 本来作ろうとした実験体とは違うやっかいな失敗作として、僕は研究所から廃棄処分として外に捨てられ、今の親に拾われた。

 まさに幸運だった。

 2人は子供を作れない状態らしく……家の前に倒れてた僕はまさに天からの恵みに思えたらしい。

 そのおかげもあって、僕は死を免れることができた。

 廃棄処分された他の仲間がどうなったかはわからない。

 唯一調べる方法が、僕の血をひたすら道しるべとして水たまりに注いでくこと。そうすれば、感知能力のある1人は僕の側に近づいてくるはず。生きてさえいれば、合流できる……と思う。

 女の子の他にも男の子も欲しいとお義母さんはいってたから、きっとあいつがくたばってなければ匂いに惹かれてくる。そしたら2人のためにもなる。今までの恩返しができる。

 

 本当だったら、匂いとして感染させ血の巡りを壊す。

 

 そんな恐怖の能力が2人の幸せを作ることができる。守ることができる。

 なにより死ぬ運命だった僕たちが幸せを感じられる。

 そのために、誰かが倒れてくのはどうしようもない。

 少なくともDNA判定で僕の血は特定できない。悪質に変異するものは、何の生物かは研究所以外わからないだろう。彼らが失敗作を回収するとも思えない。

 合流したら何をするかはまだ決めてない。

 姉弟がいるってことは既に伝えてある。いつかくるかもしれないということも。そしてそのときは一緒に暮らしてもいいかも聞いた。

 2人は喜んでくれた。

 ぼろぼろになってるかもしれない僕の弟も自分の子供としたいって笑ってくれた。


 だから、やり方を少し変えることにした。


 川という水たまりに血を混ぜるという方法に。

 お義母さんたちには、既に耐性をつけてもらってあるから問題はない。

 そう2人には絶対問題は起こらない。

「……」

 だから、やるんだ。

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水の広がり バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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