とある青い娘
バブみ道日丿宮組
お題:青い計算 制限時間:15分
とある青い娘
人を見る能力というのは手相だったり、星を見たり、様々な方法がある。
僕の娘は青い数字を書いてただ計算するだけで色々なことが占えるという。
最初のうちは半信半疑だったが、当たるものが多すぎて無視できないレベルになってきた。そもそも幼稚園にも通ってないうちから数学がわかるのが天才児に思える。言葉もほとんど流ちょうと言える。
言葉はわかっても、娘の計算が運命を表してるというのはわからない。ただの青い数字としか判別できない。
娘の母であり、僕の妻である彼女は『とある機関』に預けようと何度も相談してきてるが、こういうのは大抵実験動物のように扱われるのがオチだと毎度説得してる。
映画の見すぎとも彼女に言われたが、この能力が世界に知れ渡った時どんな影響を及ぼすのかわからない。もしかしたら世界の運命を娘が握ることになるかもしれない。
僕はそんな人生を娘には歩んで欲しくはない。
ただ普通の女の子として成長し、恋をし幸せになって欲しい。
「面白いか……?」
「うん、おもしろいよ。パパもやろうよ」
「そうだな」
何をどうすればいいのかはわからないが、娘の示す場所に数字を書くと意味があるらしい。
「明日は遠いところで土が降ってくるよ」
「そうか……」
噴火か何かか……。
未来がわかるというのは恐ろしい。娘が近くといったときにはそのことが実現してしまうのだ。そうなったら、僕はどうしたらいいのだろうか。
娘を連れて、彼女を連れて、遠くに逃げればいいのだろうか。やはり彼女がいうように機関に頼るべきなのだろうか。
娘の人生は娘が決めることだ。
ただ……5歳の娘の行末を自分自身に任せていいものか。
「どうしたの? パパ、元気ない? 大丈夫だよ、パパは安全」
娘はとある数字が書かれた場所を指す。
「そうか、ありがとう」
優しく頭を撫でる。
それしか今の僕には……、
「新しい本買ってやろうか?」
「うん、おおきなちず! いろんなばしょがわかるのがいい」
となると世界地図か、歴史書か……僕が読まない本を娘が読む。
不思議な気分だ。
世の中の天才児を持った親は何を考えてるのだろうか。
恐怖を感じるのか、幸せを感じるのか、なんであろう。
「あなたたち、ご飯ができたわよ」
ダイニングから彼女の声が聞こえた。
僕は思考するのをやめ、娘の頭を撫で、
「ほら、今日はここまでだ。ママが今日は好物を作ってくれたぞ」
「ほんと! わーい」
抱きかかえ甘えてくる時、娘は他のこと全く変わらない。
いつか変わってしまうんじゃないかという恐怖を心に刻みつけ、僕は今日も生きてる。
とある青い娘 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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