魔の館
バブみ道日丿宮組
お題:汚れた快楽 制限時間:15分
魔の館
快楽に溺れた人間は元の場所に戻れない。
追いてく以外の選択肢はない。
「諦めろ」
笑顔で痙攣し続ける男を引きずる隊員の手を叩く。
「もうこいつは果てるまであの怪物に吸い尽くされるしかない」
他の仲間達がそうであったように。
「生き残って報告をするんだ」
この現況を作り出したのが一体誰であって、誰が仕組んだことなのか。そのことを上層部に報告しない限り、ここには快楽のために使用される人間モルモットで溢れかえることになる。
「わかってるけど、この人はさっきまであんなにも……」
「だが、こいつがあいつに支配されて服従し堕ちてくのも見ただろう」
あの人間でありながら、人間ではない性欲の塊としかいえない物体。
「俺は枯れたゾンビになりたくはないし、お前もそうだろう」
かつてリーダーだった隊員は既にこの館で干からびたゾンビのようになってる。それでもまだ生きてるのが怖いところだ。快楽のために死ぬことすら許されない。
感染すればエキスを吸われる人工発電機とかす。
「でも、でも……基地につれてけば……」
「身軽じゃないと今度襲われたとき俺達はどうすればいい? 捕まって感染するか? 一緒に快楽の虜に落ちるか? 俺は簡便だね。アブノーマルに堕ちるくらいなら、自分の行為で楽しむほうがまだいい」
汚れるのは簡便だ。
基地では足りなくなった兵士を作り出すために、行為を余儀なくされるがあっちのほうがまだ楽しみも、苦痛もない。しかも相手も選び放題、拒否し放題。ここはなんだ?
ただあの……女のような男のような人間に一方的に喰われる。たまったもんじゃない。
「行くぞ。そいつのことを思うなら、お前がとどめを刺してやれ」
かつての仲間であり、隊員の恋人であるならなおさらできないことではあるかもしれないが、愛を汚されたのなら迷う必要はないだろう。
「……わかった」
仲間は銃を取り出し、笑顔の男へと向ける。その顔に涙が浮かんだ気がした時、甲高い音ともに血が飛び散った。
血での感染がないことだけが救いだ。
これで何人快楽から救ったのかわからない。
快楽の虜のままでいるか、快楽の地獄から開放されるか。仲間が何を望んでるかはわからない。だが、俺たち兵士は化物の餌になるつもりでこの館に来たわけじゃない。
「あれ、おかえりになってしまうの?」
屋敷の出入り口付近に差し掛かると、後ろから声が聞こえた。
「振り向くな、このままこの屋敷を抜ける」
閃光弾が効くのはわかってる。
あとは走り抜けるだけだ。
「彼殺しちゃったのね。せっかく戻せたのに」
「えっ!?」
「よせ、振り向くな!」
言葉が仲間に届くのが遅かった。
後ろから聞こえるのは、仲間の喘ぎ声。
「あぁ、あなたも欲しかったのにな」
「絶対許さないからな。必ず戻ってくる」
「そう、嬉しい」
館を開いて外に出た俺は、入った。
魔の館 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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