第29話 道標ない旅-29


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 ドリフレちゃん、


  忘れてるね。

  ベルはすごいんだろう。

  でもね、


  ベルを考えたのは君なんだよ。

  すごいね。


 山本五十六                            

   

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     ・

     ・

     ・

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 あたし、すごいなんて言われたの初めてでどうしていいのかわかりません。でも、あたしは、勉強は駄目だし、好き嫌いも多いし、泣き虫で弱虫で、チビだし、引っ込み思案で、いつもママに怒られないかってびくびくしてるし、先生にも褒められたことないし、あたしはだめなんです。               

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 ドリフレちゃん、


 成績は何番?

 ドリフレちゃんはビリなの?

 全科目成績は悪いの?

  もし、ビリじゃなかったら、

  それより下のやつはもっとだめ?


 でも、この学校でビリでも、

  他の学校ならもっと成績の悪い人はいるよ。

  そいつもだめなの?


 好き嫌いが多いのは、ママの料理が下手なんじゃないの?

  うちのカーチャンはけっこう上手いよ。

  一度食べにおいで。


 チビって言ったって、もっと小さい子はいるよ。

  まだ、成長期だから、ひょっとしたら2メートルくらいになったりして。

  楽しみだね。

 おれもでかくなっちゃうかも・・・;


 ナキムシとかヨワムシって、まだ発見されてないはずだな。

  もしかしたら天然記念物になるかもね。

  大事にされるよ。


 今わかったんだけど、

  ママや先生は、実はデビルなんじゃないの。

  ベルが夢から出てこれないなら、

  おれが助けてやろう!

   いらない?お呼びでない??こりゃまた、失礼しましたぁ。


 山本五十六                               

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 それっきり返事は返って来なかった。五十六はツールバーの時計を見続けた。時間は五時になろうとしている。約束の時間だ。五十六は、別れのメールを送って、コンピューターを切った。



*――*――*――*――*――*――*――*――*――*――*――*


 ドリフレちゃん、


  ちょっと調子に乗り過ぎたかな?

  気を悪くしたなら、ごめんね。


 時間が来たみたいだから、

  これで終わるね。


 また、メール下さい。

  さようなら。


 山本五十六                               


*――*――*――*――*――*――*――*――*――*――*――*

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