第27話 道標ない旅-27

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 五十六さんへ


 つい、うっかり書いちゃったの。

  言わないでおこうかと思ったんだけど、

  他に書くこともなかったし、


 五十六さんは、コンピューターのオペレーターなんです。

  リリィがいじめられてるのを、ベルに教えてくれるの。

  そうしたら、ベルが助けにくるの。

                   ドリフレ


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 ありゃま、っていう感じだね。

  おれが、そんな重大な役目なんて。

  どっちかっていうと、リリィのスカートでもめくってそうなのに。


 あんまり、いい役はつらいな。

  悪役にしてよ。


 山本五十六                            

   

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 五十六さんへ


 残念だけど、五十六さんは正義の味方です。

  こうしてメールをやり取りしてると、

  五十六さんがいい人だって、よくわかるのよ。


 ベルには勝てないけど、五十六さんはジュンと同じくらいいい役なの。

  ごめんね、2番目で。

                   ドリフレ

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 いえいえ、2番目でも充分です。

  ブービーでも結構です。


 ところで、

  ベルはいつもどんな活躍してるの?

  今日見た夢の話を聞かせてよ。


 山本五十六                               


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 五十六さんって本当にいい人ですね。

  夢のことを話すと、パパもママもおかしな顔をするのに。

  そんなバカなこと言ってないで、勉強しなさいって、

  いつも怒られるの。

  わたしは、眠ってるときが一番幸せなのに。


 あのね、今日見たお話はね、

  いつもの草原にリリィがお友達のロビンと遊んでいたの、

  そしたら、急に周りが暗くなって、慌てて帰ろうとしたら森に迷い込んだの。

  それは実は、デビルの罠だったの。

  迷路みたいな森の中でリリィが泣いてると、

  五十六さん(ごめんなさい、勝手に出して)が、

  レーダーでそれをキャッチしてベルに伝えたの。

  そこでベルは、ジュンに乗って暗闇の森へ入ってきて、

  デビルの手下を倒して、リリィたちを助け出したのです。

  デビルは倒せなかったけど。


 こんな変なお話です。

  笑わないでね

                   ドリフレ


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 いやぁ、ドリフレちゃん、たいしたもんじゃない。

  おれの性格よく知ってる!

  自分は危ないことしない、正義の味方、ってとこだね。

  まったく、おれらしい。


 でも、これってファンタジーだね。

  ネバーエンディングストーリーって知ってる?

  面白いよ。


 山本五十六                               


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 五十六さん、機嫌悪くしてませんか?

  わたしは別に五十六さんをそんなふうに扱ったつもりはないんです。

  ただ、今までも、顔を見たことがないから、

  勝手に、飛行場の管制官みたいな印象を持っていただけなんです。

  サングラスなんかして、インカムつけてる姿しか想像できません。


 決して、悪く思ってません、本当です。


 わたしは、ファンタジーは大好きなんです。


 ネバーエンディングストーリーも好きです。

  でも、エンデだったら、モモのほうが好きだな。

  子供も大人もみんないい人に変わってしまうから。


 五十六さん、

  モモは読みましたか?

                   ドリフレ


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     ・

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 残念ながら、モモは読んでないんだ。

  女の子の読み物みたいだから。


 でも、ドリフレちゃんも、エンデみたいになるのかな。

  ファンタジーとか絵本作家なんて、似合いそうだね。


 山本五十六                               


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 わたしも、ファンタジー作家になりたいな、なんて思ってます。

  でも、ママは勉強しなさいって言うの。

  パパはどっちでもいいっていう感じだから、

  いつも、ママの言う通りにさせられるの。

  勉強は嫌いです。

  木曜日からテストだけど、あんまり、自信はありません。

  進学校だから、仕方ないんだと思っても、

  成績が張り出されるのは嫌です。

  どうしてのらなかったんだっていつも怒られるから。

  こんな学校嫌いです。


 五十六さんはどうしてこの学校を選んだんですか?

                   ドリフレ


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