第24話 道標ない旅-24


 「ちっ逃がしたか」


五十六が時間を見ると、もう4時になっていた。五十六はメールの結果を見ながら、もう少し確証が欲しかった。


 『この学校の』というのは、『わたしの学校の』という意味だろうか?それとも、単に『このホームページの学校の』という意味だろうか?『この学校の写真』?


 まだ、確証が持てない。


 『わたしの通ってる学校は、すぐ近くなんですよ』。これはどう解釈する?ここだとごまかすために、はっきり言わないのだろうか?近くの学校は、上岡中、城西中、ひばりが丘中、少し離れて、城南中、久野中、深香山中、全部公立だ。進学校なんてない。私立の清明女学院は進学校というほどじゃない。共学か訊いてみればよかった。でも、近くに該当する学校なんてない。やっぱり、ここだろう。


 五十六はそう検討つけたものの、他に何も見いだすことはできなかった。

「まぁ、いいか」そう呟きながら、ドリフレからのニセのメールを作り始めた。


 月曜の放課後、五十六が見せたドリフレからのニセのメールにみんながっかりしていた。

「おい、五十六。なんだよ、俺たちのやってたことは」健太郎

「なんだって言われても、そうなんだから、しょうがねえだろ」五十六

「でも、せっかく、準備してたのに」翔


*――*――*――*――*――*――*――*――*――*――*――*


 五十六さんへ


 ご案内いただいたのに、

  その日は家庭教師の先生が来て、見ることもできませんでした。

  残念でした。


  また、ログを掲載してください。

  楽しみにしています。


 それでは、さようなら。


                   ドリフレ

*――*――*――*――*――*――*――*――*――*――*――*


「だけど、五十六。ひょっとしたら、こないだのチャットの時は、たまたま家庭教師が来なかったっても考えられるぜ」健太郎

「そうだな」五十六

「じゃあ、チャットの罠はだめってことじゃないか」翔

「そうかもな」五十六

「うまく家庭教師の来ない週だったらいいけど、そうじゃなきゃ、無駄骨だよ」健太郎

「まぁな」五十六

「どうすりゃ、いいんだ」健太郎

「まぁ、深刻になるな。一応、こうやってメールを送ってきてくれたんだから、まだ大丈夫さ。ただ、時間は掛かるかもしれないけどな」五十六

「あまり、気にしないことね」美弥

「そう。チャットの案内を送る前にリクエストを取る方法もある」五十六

「リクエスト?」健太郎

「何曜の何時がいいかって」五十六

「それならムダはないな」翔

「まぁ、それがわかっただけでも、もうけもんだったってことだ」五十六

「そんなにうまくはいかないってか」翔

「すぐに次のパーティを開くのも変だし、再来週くらいだと不自然じゃないかな?」健太郎

「そうね。再来週の何時くらいがいいって、訊いてみようか?」美弥

「いいね。おい、再来週っていやぁ、試験じゃないか?」健太郎

「再来週の土曜、なんて言ってないよ。その次の月火…土曜でもいいんだ」五十六

「そうだな。あぁー、でも、もう試験かぁ。たまんねえな」健太郎

「普段から勉強してないからよ」美弥

「ンなこと言ったって、この学校は成績張り出すんだぜ。あぁ、いやだいやだ」健太郎

「でも、上位二十位までじゃない。ほとんどが関係ないわ」美弥

「だけどな、ひとりだけいっつも名前が載ってる人がいるからなぁ」翔

「あ、でも…たまたま」由貴子

「たまたまで、トップになったりするかぁ?」翔

「いいじゃないの、ユッコちゃんがいるから、コン研もバカの集まりだって思われないんだから」美弥

「ほんとほんと、感謝してます」健太郎

「だいたい、いつもひと桁だよね」翔

「…ん、まぁ」由貴子

「いいな。どんな頭してるんだろ」健太郎

「こんなの」由貴子

「…最近、ユッコちゃん、人格が変わってない?」翔

「五十六病だったりして」健太郎

「あんまり近づかないほうがいいわよ」美弥

「おれは、伝染病か。うがぁー、ばかにすんなぁ」五十六

「はいはい、ほっとこうね。あんなやつは」健太郎

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