第4話

前ナヴィラ文章は翻訳が難しい。単語として成り立つ文字列中にいきなり絵文字が混じり意味が変わる。しかもそれが音素文字と似ているのだ。


ぱたぱたという音とあからさまな存在感を感じる。


ドラゴンという生き物はどうもよく分からない。いつもはわたしに全く無関心な風なのに、わたしが忙しいとなぜか近くに寄ってくる。


「オルヴェス、いまはだめだよ」

もちろんそんな言葉が通じるわけがない。通じていても聞くわけがない。


オルヴェスはかわらず羽根をぱたぱたとさせている。なぜかこちらに関心を持たせようとすると圧倒的な存在感を発揮する。


構わず無視して翻訳を続けていたらいきなり小さく火を吹いた。


「ああ!ちょっと!こげちゃったじゃない!」


火吹けるんだ、という驚きと、この焦げどうしようという気持ちが交錯する。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る