第2話

予想よりかなり早く竜が羽化した。体長32cm、体重4.8kg。大体標準くらいらしい。火竜と聞いていたが、その鱗はピンク色で可愛かった。


──竜はあまり構わないようにしてください──


近くの生物医から聞いていたが、やはり羽化した直後はいろいろと構ってしまう。しかし撫でても、突いても、持ち上げても、抱いてもあまり反応がない。尻尾を持ち上げて逆さまにするとさすがにギャアと鳴いた。イヤだったらしい。


「お前の名前はオルヴェスだよ、よろしくね」

生まれる前から決めておいた名前だ。由来はとくにない。


──離乳食はいりません。羊乳と肉や鶏卵を与えてください──


鶏卵なんていう珍しいものを買うのは初めてだった。なんでも北の国では普通の食材として食べるらしい。


というわけで羊乳と羊肉と鶏卵をそれぞれ別の器に入れて出したらもそもそと食べ始めた。竜の表情は分からないが、別に美味しそうには見えなかった。しかし食べ終わった器は舐めたように──実際舐めてたが──きれいだった。


その後とくに教えたわけではないのに少し離れたところに置いておいたトイレで用を足し、また卵の欠片の近くに戻って伏せて眠ってしまった。

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