第2話
予想よりかなり早く竜が羽化した。体長32cm、体重4.8kg。大体標準くらいらしい。火竜と聞いていたが、その鱗はピンク色で可愛かった。
──竜はあまり構わないようにしてください──
近くの生物医から聞いていたが、やはり羽化した直後はいろいろと構ってしまう。しかし撫でても、突いても、持ち上げても、抱いてもあまり反応がない。尻尾を持ち上げて逆さまにするとさすがにギャアと鳴いた。イヤだったらしい。
「お前の名前はオルヴェスだよ、よろしくね」
生まれる前から決めておいた名前だ。由来はとくにない。
──離乳食はいりません。羊乳と肉や鶏卵を与えてください──
鶏卵なんていう珍しいものを買うのは初めてだった。なんでも北の国では普通の食材として食べるらしい。
というわけで羊乳と羊肉と鶏卵をそれぞれ別の器に入れて出したらもそもそと食べ始めた。竜の表情は分からないが、別に美味しそうには見えなかった。しかし食べ終わった器は舐めたように──実際舐めてたが──きれいだった。
その後とくに教えたわけではないのに少し離れたところに置いておいたトイレで用を足し、また卵の欠片の近くに戻って伏せて眠ってしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます