ドラゴンとわたし

@samayouyoroi

第1話

洗濯物を干しに庭に出たらオルヴェスがいた。


「あらいつの間に」


オルヴェスはちらりとも反応しなかった。


「洗濯物干すからちょっとあっちいってて」


そう言うと言葉が通じたのか、あるいは単に陽だまりが暑くなったのか、一拍置いてからのそのそと木陰に移動する。


わたしは今のように用がなければあまりオルヴェスに話しかけることはない。オルヴェスのほうもこの里帰りで特別なにかをするわけでもない。


里帰りというが、どちらかというと放蕩息子がたまに家に帰ってくる、というほうが適切だろうか。その周期が数ヶ月に1回とかなだけで。


オルヴェスがそういう性格なのか、ドラゴン全体がそうなのかは分からない。ただこの小竜は生まれときからこんな感じだった。マイペースというか、人間に無関心というか。しかし妙なところで懐いているとは感じることがある。そういう竜だった。

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