第4話
俺は一人で抱えるのが厳しくなってきたので、誰かに相談することにした。
信頼のおける人物にだったら話してもいい、とサヤさんに言われたのだ。
いや、表情的にあんまり話してほしくはなさそうだったけど。
「やっほーショウタ!夏休み楽しんでる?私は今日はプール、明日はアフタヌーンティーにゃのよねーんウヒヒヒヒ」
幼馴染のリンである。
ちょっと悩んでて、というとすぐ来ることになった。持つべきものはフッ軽な彼女である。
「ちょっと夏休み楽しみすぎてたわ。全然連絡してなくてごめんね!」
一応彼女なのにね!てへぺろ!で、なになに、といきなり本題に入ってくる。夏休みに入る少し前に、俺はリンに告白し、暫定でいいならいいよ、という謎のオッケーをもらっていたのだ。まだ恋人らしいことは何もしてない。楽しい夏休みを送るはずだったのに、とんだ誤算である。
「なんか俺、尊い血筋だったみたいで」
リンを見たら泣きそうになった。日常を思い出したような、そんな気持ち。
「もしかしたら、皇族になるかもしれないんだって」
「えーっ!!?」
リンは驚嘆した。
「いや、そんなにびっくりでもないか。ショウタの苗字スメラギだもんね。なんか尊そうだなってずっと思ってたわ。」
マジかよ。
「で、何を悩んでるの」
「もし本当に皇族になっちゃったら普通の人生は送れそうにないから、どうしようと思って…」
「普通の人生なんてにゃいにゃい!みんな特別でオンリーワンな人生なんだよぅ!」
リンはオーバーアクションだ。そしてだいたい明るい。そこにすごく助けられてきた。今も。
「確かにけっこう大きめの分岐ではあるけどさ、ショウタが後悔しない道を選びなよう。やってみて考えたらダメなの?」
「まだ候補に上がってるだけだから、もうちょっとやってからでも、やめれる、のかな?」
「それならまだ今は悩むときじゃないって!やって後悔?やらずに後悔?」
「やらなかった方が、後悔するかも」
「はい解決!」
リンはパシンと手を叩く。
「で、だれだれ」
リンはずっと俺の後ろでスーンと立っていたナカイさんを指さした。
「じゃあアレだね、今のところ予定はないけど、私とショウタがデートすることになったとしたら、ナカイさんも来るんだよね?」
「そうなりますね。」
「じゃあリョウスケも誘っちゃおうよ!楽しいよ」
リョウスケは俺たちと仲のいい友達だ。よく一緒に遊ぶ。たしかに楽しそうだけど。それはもうデートって言わないんじゃないだろうか…涙
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