第3話 参加者たちの自己紹介2
「エントリーNo.4、私の妹の白井優里です!」
早希の妹の優里は赤いランドセルを背負ったまま可愛らしくお辞儀をした。
「いや、なんであんたの妹も参加してんのよ……ていうか私より思い切り年下だし。どうせ参加させるなら妹オーディションでも開いてあげた方がいいんじゃないの?」
「ダメだよ。優里は私の可愛い妹なんだから。悪いけど夏香ちゃんには渡せないよ」
早希は夏香にムッとした表情を向けた。
「なら私のお母さんを選ぶためのオーディションに参加させたらダメでしょ……」
「そして最後、エントリーNo.5、ここまで1時間かけて電車でやってきた、大学生の尾崎奈央さんです!」
尾崎奈央という女性は、どうみても営業用と思われる作り物の笑顔を浮かべていた。
なぜか右手にはマイク、左手にはハンドバッグを持っている。わざわざコメント用のマイクまで持ってきているなんて、どれだけ本気でお母さんオーディションを勝ち抜きたいのだろうか、と夏香は呆れた。
「なんで普通に一般の人がエントリーしてるのよ……しかもこんなの電車で1時間もかけて来る価値のある企画じゃないと思うんだけど……」
身内がエントリーしているのも困るけど、全く知らない人がエントリーしているのはもっと困る。
「尾崎奈央さんはどうしてもこのオーディションに出たいと直訴して履歴書まで送ってきてくれたかなりやる気のある方なので、本命に挙げて間違いないと思います!」
「いや、どんだけ私のお母さんになりたいのよ! たしかに見た目は美人だし女子力高そうだけど、私は自分のお母さんにしか投票する気ないんだから、勝手に本命に挙げられても困るんだけど……」
気になることが多すぎるが、夏香の指摘に返答することなく早希は話を続けていく。
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