試験1:4人目の思考と回答

「大丈夫ですよ」


なんだ。パソコン使っていいのかよ。


隣の女が電源ボタンを押してパソコンを起動させた。

カタカタとキーボードを打つ音、マウスのクリック音が部屋の中に響く。


んじゃあ、俺も使わせてもらうか。

箱が邪魔で向こう側が見えないが、たぶんパスワードはかかってないんだろう。


俺は右側にあるパソコンのスイッチを押した。


が、付かない。

いや、付いたけど、一瞬で落ちた。


「あれ?」


おかしい。


俺はもう一度電源のスイッチを押した。


が、反応がない。


マズい。壊したか?


「どうかしましたか?」

「ああ、いえ。大丈夫です」


大丈夫じゃないけど、とりあえずもう一度電源のスイッチを押してみる。

が、やはり反応なし。


そうこうしてる間に隣の女は左のドアの向こうに消えた。


これで残ってるのは、俺を含めて2人。

気持ちだけが焦る。


「――さん?」

「はい?」


名前を呼ばれた。


「右のドアへ」


マジで?何も話してないのに?


「どうぞ」

「はい」


なす術はなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る