試験1:2人目の思考と回答
1人目が右側のドアの向こう側に行ってしまった。
あれは受かったのか……?
これまでにもいくつか入社試験の面接を受けてきたが、この質問は初めてだった。
――パソコンの作り方を教えてください。
「作り方」ってなんだ?
工程の話か?それとも組み方の話……?
「作り方」というものの定義がわからない。
隣を見るが、デスクトップの箱が邪魔をして顔をうかがうことはできない。
気になるのは、この目の前にあるモニター。
何かのヒントなんだろうか?
とにかく「作り方」というのが何を指してるのかを聞かないと話にならない。
俺は手を挙げた。
「どうぞ」
面接官が俺に視線を向けた。
カチッとボールペンのノック音が聞こえた。
「質問に質問で返すようで恐縮ですが、構いませんか?」
「はい」
試験官は頷いた。
とりあえず道はつながった。
であれば、俺が聞くべきことは1つだ。
「作り方というのは、どのようなものでしょうか。作り方と言っても、設計から製作といった工程もありますし、先ほどの彼のように組み方、パーツの選び方というのもあるかと思います。なので、どのあたりを知りたいのか、ご教示いただけますでしょうか」
これを聞かなければ、教え方に差が出る。
「質問は以上ですか?」
「はい」
質問には自信があったが、沈黙で返されるとさすがに緊張してくる。
「なるほど。では、あなたはこちらのドアを出ていただいて、スタッフの指示を仰いでください」
「え?」
あれ?終わり?
「あ、そうですね。質問の回答をしましょう。えー……」
質問の回答を聞いた俺は、「なるほど。うまい」と思った。
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